忙しさについての概念の変化についても、指摘しておくべきだろう。年齢を重ねた人の感じる忙しさは、人との直接のやりとりや社交行事への参加、(デジタルではなく)物理的な活動を伴うゲームや趣味などの取り組みだ。これに対して若者は、複数の電子機器を交互に使ったり、ソーシャルメディア上の友人とやりとりをしたりといった、過剰なデジタル活動で忙しさを感じている可能性がある。
これらの「忙しさ」が長い年月の中で脳とその健康にどのような影響を及ぼすのかははっきりしていないが、あまりプラスの影響を及ぼさない可能性があることを示唆する幾つかの証拠がある。そして研究者たちは、忙しさと認知力の関係における重要な要素は「学び」であると見られると指摘している。
年齢を重ねても頭脳明晰でいられるためには何が必要なのか、忙しさとどのような関係があるのかについては、今後まださらなる研究が必要だ。忙しく活動し続けることが、優れた記憶力や認知力の維持に有効である可能性は十分にある。
しかしその忙しさを「何から」感じているのかに留意することが重要だ。自分の好きな仕事や新しい趣味、授業や友人との外出から感じているのであれば、そのどれもがおそらく良い影響を及ぼす。だがフェイスブックのやりすぎや、より不健康な(そしてよりストレスを感じる)ことで過度な負担を負うことで忙しさを感じているならば、脳のために環境を変えるべき時かもしれない。