「電動歯ブラシ業界のアップル」を目指すQuipのチャレンジ

Alliance/shutterstock

親がうるさく言わないと子供が1日2回の歯磨きをしないのには理由がある。歯磨きがあまり楽しいものではないからだ。そこで登場するのが電動歯ブラシ。手磨きと比べて目新しさがあり、子供は歯をもっと磨くようになる。

電動歯ブラシメーカーの「クイップ(Quip)」が目を付けたのは、この基本的なオーラルケアの必要性だ。同社の電動歯ブラシはシンプルでエレガントなデザインで、機能を最小限にとどめている。複雑な機能がある訳ではない。至って普通のブラシに1種類の振動パターン、磨くエリアを変える目安としてタイマーが2分おきに合計3回鳴るようになっているだけだ。

デザイン重視なら40ドルからの4色から選べるブラッシュドメタル(ブラシで磨かれた金属)がお薦めだ。価格重視なら25ドル(約2,700円)から買えるグリーンかブルーのプラスチック製がいいだろう。

クイップの始まりは、創業者のサイモン・エネバー(Simon Enever)がある歯医者にかかったことだった。エネバーは母国イギリスに帰国した際に、歯医者に行くようにしていたが、2012年にはその機会がなく、ニューヨークの歯医者にかかることになった。

「クールな歯ブラシ」のサブスクリプション販売

「その時の歯科医師は、人々の歯磨きに対する考え方がいかに間違っているかについて長々と愚痴っていました。アイデア次第でこの状況を変えられると思ったのです」とエネバーは言う。

デザイナーでもあるエネバーは、共同創業者のビル・メイ(Bill May)と組み、2013年にクイップのコンセプトを練り上げた。2014年5月には、フィットネスに通い放題の「クラスパス(ClassPass)」や男性用化粧品の「ハリーズ(Harry’s)」、メガネブランド「ワ―ビー・パーカー(Warby Parker)」などに出資するエンジェル投資家カル・ベプリ(KalVepuri)から融資を受けることができた。

初代の電動歯ブラシの出荷を開始したのは2015年2月で、今後数か月で10万本を売り上げるとエネバーは見込んでいる。6月には投資ラウンドも控えている。
次ページ > 歯磨きの憂鬱さを軽減してくれるか?

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事