―まず、フォーブス・トラベルガイドについて教えてください。
フォーブス・トラベルガイドができたのは、1958年のことです。アメリカ国内を車で旅する人に向けて作られたアメリカ発のガイドで、それを見ればどのホテルが国内最高級かがわかりました。当初のガイドはとてもシンプルなもので、1つ星、2つ星、3つ星、4つ星、5つ星という5段階の格付けがあり、そして格付け基準は、「ホテルは清潔か」「レストランはあるか」「安全か」「家族向けか」など、かなり基本的なものでした。
しかし、北米最も厳格な基準だったため、その後50年の間に、5つ星を獲得することは非常に難しくなりました。サービスの質やホテルのレベルを向上させるために、献身的な取り組みが必要となったのです。それにより、北米全土、つまりアメリカとカナダにおいて、フォーブス・トラベルガイドの格付けは信頼され、その星が何を意味するか広く認識されるようになりました。創刊から58年経つ今、我々はその信頼をもとに、格付けの調査対象をさらに多くの国々へと拡大しています。
光栄なことに、この格付けはマスコミから、「ラグジュアリー・サービスのオリンピック」と評されました。最高ランク獲得は、オリンピックで金メダルを獲得するに等しいということです。その格付けは、現在3段階になっています。以前の「3つ星」は「お勧め」というランクに変更されましたが、そのレベルに達するのは、非常に困難です。その上に、4つ星があります。これは、一般的な立地条件にあるホテルが獲得できる格付けとしては最上級です。最も顧客満足度が高い5つ星を獲得したホテルはごくわずかで、現在、世界に154軒のみです。
今はもう1つ星、2つ星の格付けは行っていません。このランクはもう、ラグジュアリー・マーケットではないからです。我々は、ラグジュアリー・マーケットと、ラグジュアリー・サービスを利用する顧客の要望にのみ焦点を当てています。
―世界中に数多くあるサービスの格付けと、フォーブス・トラベルガイドの格付けが他と違う点を教えてください。
いまインターネット上で特に情報が多いカテゴリーのひとつが旅行関連ですが、情報の氾濫が混乱を招いていることも事実です。プライスラインやエクスペディア、カヤックなどの旅行情報検索サイトが、このホテルは4つ星、これは5つ星といった場合、その根拠となるべき測定可能な評価基準というものが存在しません。その結果、そういった情報はかなり主観的で一貫性のないものになります。
では、我々の評価システムは何が違うのかといえば、最も重要なのは我々が唯一、オリンピックのような透明性のある評価を世界規模で行っている点です。その評価項目は800に及び、ホテル、スパ、レストランそれぞれに項目を設けています。評価項目はすべて明快なもので、世界のどこであっても一貫性のある評価がなされます。独立系ホテルでも、チェーンのホテルでも、マリオットやヒルトンといった有名なホテルであってもです。