フォルクスワーゲン、配車アプリGettに3億ドル出資 B2B活用も想定

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5月24日、フォルクスワーゲン(VW)はウーバーの競合、Gettに3億ドル(約330億円)の出資を行なうことをアナウンスした。Gettはヨーロッパやロシア、イスラエル、ニューヨークで配車サービスを行なう企業。VW社は今回の提携により、配車アプリの台頭やクルマの所有率の低下、さらには自動運転カーの登場等の自動車メーカーを取り巻く環境の変化に対応しようとしている。

この分野では数ヶ月前に米GMが5億ドルをLyftに出資しており、5月16日にはアップルが中国の「滴滴出行(ディディチューシン)」に10億ドルを注ぐことを発表した。

「自動車産業のパイオニアたる弊社は、2025年までにモビリティ分野をリードする企業に成長します」とVW会長のMatthias Müllerは声明で述べた。「Gett社との提携は、ユーザーの新たなニーズを弊社の既存ビジネスに取り入れる試みの第一歩になります」

世界60都市に展開するGettは5億ドルの売上を誇り、初期に進出した地域では黒字化に成功している(ニューヨークではまだ赤字という)。今回のVWからの出資はGettの総資金調達額を2倍以上にする規模であり、ウーバーらの競合がせめぎあう市場での同社の競争力を強化する。

「GettはVWグループに対し、オンデマンド配車の先を見据えたテクノロジーを提供します」とGett創業者でCEOの Shahar Waiserは声明で述べた。

「我々二社はともに、一般消費者向け市場と企業向け市場の双方で成功を収めた企業です。VW社は今回の提携により、B2B市場で同社が持つ支配力をオンデマンド配車の分野に拡大できます。Gettの収益性重視の運営姿勢と成長に向けた企業統治はVWグループの経営哲学とも非常によくマッチするものです」と Waiserは続けた。

今年初め、GMとLyftが提携した際には、自動運転カーのネットワーク実現に向け、二社の技術者らが協調する動きも話し合われた。この野心的な試みの実現にはまだ時間を要するが、レンタカー分野などでは既に具体的な動きも進展中という。

VWとGett間の取り組みの詳細はまだ明らかにされていないが、その進展を大いに期待したい。

編集=上田裕資

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