自動車メーカーの排ガス不正スキャンダル、いわゆる「ディーゼルゲート」について取材を続けた記者が先週、この結論に至ったのは、独誌シュピーゲルが5月20日に以下の内容を報じると知ったためだ。
米国の運輸省道路交通安全局(NHTSA)に相当するドイツ連邦運輸当局は排ガス規制に関する不正の発覚を受けて先ごろ、各メーカーのディーゼルエンジン車の再試験を実施。その結果、30に上る車種が実際には、申告していた量を上回る二酸化炭素(CO2)を排出していた可能性があることが確認されたというのだ。
同誌によると、最も違反が目立ったのは、ゼネラル・モーターズ(GM)傘下オペルのミニバン「ザフィーラ」。CO2排出量を109g/kmと報告していたものの、確認された数値は127g/kmだった。ドイツの裁判所は自動車メーカーに対し、報告した数値の110%以上にあたる排出量が認められた場合には、当該のモデルを回収するよう命じている。ザフィーラの場合、実際の排出量は表示していた数値よりも16.5%多かった。
欧州では、メーカー各社はCO2の排出量規制を非常に深刻にとらえていたとの指摘がある。発がん性があるのは窒素酸化物(NOx)だが、CO2は税率の算定基準とされている。そのため、CO2の排出量に違反していることが発覚すれば、NOx以上に大きな問題になると考えられていたというのだ。
欧州連合(EU)はCO2の排出量に応じて自動車税の税率を定めていることから、CO2排出量に関する不正はそのまま、納税における不正となる。同誌によれば、ドイツでCO2排出量に関する不正が認められれば、メーカーには22億ユーロ(約2,720億円)の支払いが求められる。
最大の恥知らずはGM?
GMについてはこの1週間で、以下の不正が明らかになった。
・傘下の独オペルが、一部のディーゼル車に違法な装置を搭載していた
・米国で販売するクロスオーバー車の一部が、誤ったCO2排出量を報告していた
・傘下オペルが生産する「ザフィーラ」が報告していたNOx、CO2排出量がいずれも誤っていた
自らの不正がこのように明らかにされたら、あなたは恥ずかしいと思うだろうか。そう思う人は、自動車業界向きではない。