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2016.05.25

「打倒プレステ」宣言の中国起業家 コンソールゲーム制覇の野望

StockLite / Shutterstock


Fuzeのプロジェクトは、外部資金を順調に呼び込んでいる。ワンによるとこれまで調達した金額は6,000万ドル(約66億円)に達し、香港の上場会社でモバイルゲーム開発のLinekongはそのうち2,630ドルを投資した。エンターテイメント企業Baofeng Tech(暴風科技術)、オンライン動画のLeEo、IDG China and Northern Light Venture Capital(北極光創投)も出資者に名を連ねる。

一方で、Niko Partnersの創業者、リサ・ハンソンは「売れるかどうかは、コンテンツ次第だ」と指摘する。「質のいい作品をそろえられれば需要もついてくる」

中国政府の検閲でプレステ4も苦戦

ワンは中国の検閲に関して、ソニーやマイクロソフトより有利な立場にある。PS4とXboxは中国の厳しい検閲体制によって、リリースできる作品を大幅に減らされ、中国マーケットで足かせをはめられている。それは言い換えれば、Fuzeのような現地のスタートアップにも機会は残されているということだ。NwezooのCEO、ピーター・ウォーマンは「中国の家庭の多くは、大きなテレビを持っており、ゲーム機の成長余地は大きい」と、Fuzeに期待を寄せる。

PS4は中国で販売開始後、政府に承認された作品は2年間で20タイトルを下回る。現在25タイトルを展開するXboxは、暴力や性描写のチェックを受けるのに時間がかかり、人気ゲーム「Halo: The Master Chief Collection」の発売承認までに1年半を要した。

Fuzeは仮想現実(VR)ゲームのブームも当て込んでいるかもしれない。ワンがFuzeを起業したのは、VRゲーム機市場で優位に立つためだと指摘するアナリストもいる。

ワンはゲームやVRのスタートアップに3,100万ドル(約34億円)を投資しており、コンテンツの供給体制も構築している。テンセント(騰訊)のエグゼクティブ、ジャン・ハンロンが創業した深センのゲーム開発スタートアップにも出資したワンは、「ソニーやマイクロソフトと組みたい中国企業は多いが、そのためには長い時間待たなければならない」

しかし、Fuzeに注目している企業のすべてが、ポジティブな見方をしているわけではない。Fuzeのゲーム機はPS4の廉価版だとの批判も多く、コントローラーがXboxに酷似しているとの指摘もある。インターネット掲示板にはこのような投稿もあった。「Fuzeのコントローラーやユーザーインタフェースは“パクリ”に過ぎない。誰がそれに1,500元も払うのか」

編集=上田裕資

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