ドイツで中国の国営英字紙チャイナ・デーリーの取材に応えたストロウベルは、より手頃な価格に設定したセダン「モデル3」の売上高がさらに上昇すれば、組み立てラインを設置するのは「理にかなったこと」になると述べた。
ただし、電気自動車(EV)市場が急速な成長を遂げる中国でのモデル3の生産は、非常にコストのかかる事業になると見込まれる。同国では通常、外国企業が進出する際には地元企業との提携が必要となり、技術移転が条件となる場合も多い。ストロウベルにとって、それは大きな悩みの種だ。
テスラのジョン・マクニール社長(販売・サービス担当)は先月、世界第2位のEV市場である中国について、組み立てラインを設置する「潜在的な候補地の一つ」と発言。これを受けて、同社の中国工場の開設計画がうわさされていた。
テスラにとっても、中国は無視できない市場になっている。同社アジア太平洋部門のトップ、レン・ユーシャン(任宇翔)によると、今年4月のテスラ3の発売後、米国以外での予約受付件数は中国が最多だ(具体的な台数は非公開)。
中国BYDはテスラの強敵
EVの世界では、2年ほど前から競合他社の進出が相次いでいる。だが、それでもテスラは“Aリストの大スター”の地位を維持している。一方で同市場では、本当の大物スターは著名投資家ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイかもしれないとの見方がある。同社が中国BYD(比亜迪)株の10%を保有しているためだ。
BYDは2015年、テスラの3倍にあたる売上高を達成した。テスラは開発・生産を乗用車に限定しているが、BYDは一台当たりの価格が高額な公共交通機関向けのバスを手がけていることがその主な要因だ。テスラの2014年通期の売上高は31億ドル(約3,410億円)だが、BYDの2015年の売上高は、前年比37%増のおよそ123億ドル(約1兆3,540億円)だった。
中国のEVの販売台数は昨年、約33万台に達した。中国汽車工業協会によれば、生産台数は前年300%増を記録している。