トップクラスを誇るCSRへの取り組み
近年、ボッテガ・ヴェネタはCSRに力を入れた先駆的な企業としてラグジュアリーブランドのなかでも特に注目を集めている。2013年にイタリア北部のヴィチェンツァ郊外に新設されたアトリエは、18世紀のヴィラを改築した建物で、太陽光パネルを施すなどサステナビリティを重視し、環境評価制度「LEED」のプラチナ認定を取得。また職場環境は「イタリアで最も働きやすい会社のベスト10」に選ばれている。これらの取り組みに関してもベレッタ氏は、「職場環境の整備は、働く人の労働意欲やクリエイティビティを高め、企業の長期的な成長とともに、品質の向上にもつながり、顧客への貢献が期待できる」として、今後もいっそう力を入れていくようである。
最後にラグジュアリー市場の復活を確信したという日本について、展望をこう語ってくれた。
「日本にも高級品に関心を持つ、若い世代の消費者が出てきていると感じます。彼らは従来の顧客とは大きく異なり、要求がハイレベル。中国などのインバウンド客ももちろんですが、それ以上に彼らに非常に期待しており、強い関係を築くことを望んでいます」
その言葉を受け、先ほどの大規模メゾンについて、日本での予定を質問すると「楽しみに待っていてほしい。今までも、そしてこれからも日本は、私たちにとって最重要都市のひとつなので」と笑みを浮かべた。
ベレッタ氏が、ボッテガ・ヴェネタの歴史に新たな輝きを加えることは、間違いなさそうである。
Carlo Alberto Beretta◎1964年生まれ。ミラノのボッコーニ大学で経営管理学の学位を取得。百貨店のラ・リナシェンテ、ヴァレンティノを経て、エルメネジルド ゼニアに入社。シニア・マーチャンダイジング・マネージャーを務めた後、リテール・ディベロプメント・ディレクターに就任。2015年1月より現職。ケリング・クチュール&ラグジュアリー経営委員会のメンバーでもある。