同社は5月19日、開発者向けイベントGoogle I/OでVRアプリを発表した。ユーザーがアーティストと共にステージに上がっているかのような体験ができるという。
VRヘッドセットを使用することが望ましく、中でもグーグルの「カードボード(Cardboard)」を推奨しているが、VRヘッドセットを持っていないユーザーでも楽しめる動画も用意されている。
アーティストと同じステージに立てる
現在はコンテンツ数が少なく、まだ有名アーティストも参加していない。同社のブログではタリブ・クウェリやフラットブッシュ・ゾンビーズ、ザ・ブラインド・シェイク、イーライ・“ペーパーボーイ”・リードが動画を提供するとしているが、どのアーティストもさほどメジャーではない。より多くのユーザーにVRアプリを継続的に使用してもらうには、有名アーティストに動画を提供してもらう必要がある。毎月新しいコンテンツが追加されるようだが、それでも数少ない熱烈なVR音楽ファンにとっては物足りないだろう。
「世界初の音楽ストリーミングサービスによる世界初のVRアプリ」というのが新VRアプリのキャッチフレーズだが、実は間違いではない。同社はストリーミング業界最大手ではないが、少なくとも現在のストリーミングサービスという分類の中では最古参と言える。立ち上げから14年が経ったが、2015年12月の発表によると有料会員数は350万人にとどまっている。これはスポティファイなどの競合他社と比べて10分の1だ。他のストリーミングサービスがVRに参入するのは時間の問題だが、少なくとも現時点ではラプソディがわずかながら抜け出たと言える。
VRは音楽業界においても注目を集めているが、メジャーなストリーミングサービスが参入を表明したのはこれが初めてだ。VRは音楽業界の次世代を担うとされ、ユーザーが飛びつくと信じている企業も多い。しかし、VRが多くのユーザーに受け入れられるには時間がかかるとの見方も強い。