トランプが5月18日に公開した104ページにわたる保有資産に関する報告書によると、アップルへの投資は特に多額に上る。複数回の投資で株式を取得するなどしており、保有額は推計110万~225万ドル(約1億2,100万~2億4,760万円)。2014年には600万ドル相当を保有していたことも確認されたが、この間の減少分が株式の売却によるものなのか、株価下落によるものなのかは不明だ。
個人的には投資をしている一方で、トランプはこれまでアップルに対し、とりわけ厳しい言葉を浴びせてきた。カリフォルニア州サンバーナディーノで起きた銃乱射事件の容疑者の一人が所有していたiPhoneのロックが解除できず、米連邦捜査局(FBI)が同社に協力を要請した際には、これを拒否したアップルを激しく攻撃。「(彼らは)一体自分を何様だと思っているんだ」と息巻き、同社製品の不買運動を呼び掛けた。これは今年2月のことだ。
当局はその後、アップルの支援を受けずにiPhoneのロックを解除したが、トランプはいまだ公式には、ボイコットをやめたとは発言していない。
アップルはまた、その他の多くの企業と同様、外国企業に仕事をアウトソースしていることで非難されている。トランプは今年初め、「アップルには外国ではなく国内で、コンピューターやその他の製品を国内で作らせる」と明言している。
批判の一方で利益を確保
トランプは大企業が安い労働力を求めて生産拠点を国外に移していることについて、繰り返し批判してきた。しかし、その間も名指しした各社ははじめ、そうした企業への投資を続けていたということになる。
例えば、トランプはフォードが25億ドル(約2,750億円)を投じてメキシコに生産拠点を設けるとしたことを批判。しかし、同社の社債は今も保有しており、その価値は50万~100万ドル(約5,500万~1億1千万円)に上るとみられる。
また、「オレオクッキー」の生産拠点がメキシコに移されることについても怒りの声を上げた。メーカーの親会社であるモンデリーズ・インターナショナルがシカゴ工場を閉鎖し、約600人を解雇する計画であることを非難。その後、モンデリーズへの投資を引き上げたが、報告書によれば、その前に5,000~1万5,000ドルの利益を確保していた。
このほか遊説中にトランプは、企業の「節税」をやり玉に挙げてきた。すでに公表した自身の税制改革案には、企業が利益を海外に留保することを禁じる項目が含まれている。この“規則”に従えば、国外に約2000億ドルの利益を留保しているアップルは最大の違反者ということになる。
一方、トランプはアマゾンにも照準を合わせており、同社の納税に関して先ごろ、「とがめられることなく好き勝手にしている」と酷評した。だが、保有している同社株は5万~10万ドル相当に上る。
ただし、「愛国者だ」という言葉のとおりなのか、報告書によると外国企業への投資はほとんど行っていないもようだ。