火器業界を取り締まるアルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局(ATF)のデータによれば、年間50丁以上を製造している銃器メーカーの数は、2012年の318件から2014年には400件に増加した。わずか2年で25.8%の増加だ。
その多くはスタートアップ企業で、最新の競技用ライフル(多くのメディアで「アサルト(攻撃用)武器」と呼ばれているAR15やその他のセミオートライフル)向けのパーツを製造している。このタイプが最もよく売れており、パーツの需要があるからだ。そのほかの新規参入企業は、特殊化が進む米銃市場向けに特殊な銃やカスタムメイドの銃を製造している。
そうした企業には、50口径弾、.416バレット弾などが発射可能な、AR15ライフル向けアッパーレシーバーを製造するZel Customや、カスタムメイドのAR15メーカーであるWar Sport Industries、The War Roomなどがある。金属工場や鉄砲工、あるいは単なる射撃マニアが、成長を続ける銃器市場に好機を見出して参入しているのだ。
米射撃スポーツ財団の幹部クリス・ドルナックは、銃器メーカーが増えている理由をこう説明する。「ターゲット射撃や自衛、狩猟目的で火器を購入する米国人がこの10年で劇的に増えている中、既存の企業も新興企業もそこにビジネスチャンスを見出している」
成長しているのは新興企業だけではない。米国の銃メーカーが退屈で古臭い金属工場だと考えている人は、最近の銃器メーカーの設備を知らないだけだ。
銃規制が州によって異なるため、移転をするメーカーも少なくないが、この市場はそれよりも顧客のニーズで変わることが大きい。
その例としてSig Sauerは最近、ケンタッキー州ユーバンクでの弾薬製造業務をアーカンソー州ジャクソンビルに移すと発表。同地で約50人を雇用し、ビジネスを拡大していく中でさらに多くの雇用創出も見込んでいる。Remington Outdoor Companyもケンタッキー州メイフィールドの施設を閉鎖し、アラバマ州ハンツビルの比較的新しい工場に製造業務を集約させる計画だ。