クックは声明で「インドは世界で最も活気のある、iOSの開発者コミュニティを持つ国の一つです。新設したバンガロールの開発者拠点では、地域の開発者が世界に向けたアプリを開発できるツールを提供します」と述べた。
バンガロールの開発者センターは2017年の初頭にオープンする。同社によるとこのセンター開設の狙いは「才能あるエンジニアらを支援し、インドでのiOS開発コミュニティの成長を促進する」ことにあるという。
「アップルの今回の試みは、急拡大を続け、優秀な開発者らが集うインドのコミュニティを拡大する上で、長期的な影響を与えることになります」と、インドソフトウェア・サービス協会(NASSCOM)代表の R Chandrashekharは述べた。
「アップルの試みはインドのアプリ開発技術を向上させ、世界にはばたく機会を与えるでしょう。アップルの戦略により、この国のテクノロジーセクターはさらなる前進をとげます」
インド政府はアップルに中古iPhoneの販売を禁止
アップルの取り組みは現地メディアからも非常に好意的に受け止められている。しかし、インドのスマホ市場はまだ小さなものだ。
アップルは今年3月までの四半期で、インドにおいて前年比56%の成長を遂げたというが、実際に何台のiPhoneが売れたかは明かしていない。関係筋の予測では2016年第一四半期のインドでのiPhone販売台数は63万台だ。
調査会社カウンターポイント・リサーチは、2016年のインドでのiPhone販売台数は前年度の200万台から300万台に成長すると予測している。
アップルは5月上旬、インド政府から修理再生済みのiPhoneの販売を禁止された。政府はアップルが現地工場を立ち上げることを望んでいる。政府関係者はロイターの取材に「アップルは中国市場のために中国で製造を行なっている。インドでも同じことができるはずだ」と語った。
ティム・クックの今回のインド訪問で、同社が正式に現地工場の立ち上げの認可を受けるとしたら、アップルにとって大きな転換点となるだろう。インドのスマートフォン販売台数は昨年1億台を突破し、今後しばらくは年25%の成長が見込まれている。
現地生産を行うことで、iPhoneをより安価にインド消費者に届けることができれば、アップルにとっては非常に大きなチャンスとなる。同社のインドでの動きに引き続き注目していきたい。