父親の育児情報&コンサルティングサイトFatherlyでは先日、新米パパにとって最も働きやすい企業のランキングを発表。その結果からは、親業、しかも特に父親業が雇用主や従業員にとって重要な問題であることが伺える。
2015年のランキングでは、トップ50に入った企業のほぼ半数が、従業員に1週間から2週間の有給の育児休暇を提供していた。それに対して今年は、平均で7.5週間が育児休暇に割り当てられていると同サイト共同創設者サイモン・アイザックスは言う。トップ50企業のうち35%が新米パパに6週間から8週間の育児休暇を提供し、12社は10週間から1年の休暇を提供している。
このトレンドの背景には、ミレニアル世代の父親に焦点を当てた人材獲得戦略にあるとアイザックスは言う。「彼らは仕事に打ち込み、積極的にキャリアも積みたい。それでいてこれまで以上に、家族と過ごす時間を大切にしたいと考えている」
Fatherlyの調査によれば、上位50社を業種別で見ると30%がテクノロジー、14%が金融、12%がメディア企業となる。「これらの業界は優れた人材の獲得競争が激しい。さらに、求める人材の多くは30代前半のミレニアル世代の男性で、福利厚生制度は人材の獲得や引き留めにおいて重要なのだ」とアイザックスは説明する。
しかし、父親の育児休暇制度の普及には、企業側がより寛容な姿勢を取るだけでは不十分だ。ワーク・ライフ・バランスの二重基準は幾つもの分野で見られる。女性にとっては、子どもを持つことは男性よりも多く仕事の時間が減ることを意味しかねず、それが5%の賃金低下―いわゆる「母親税」―につながる可能性も意味している。
米世論調査機関ピュー・リサーチ・センターの調査では、子どもがいると出世が難しくなると回答した父親はわずか20%だったのに対し、母親は41%だった。また別の調査では、家族と過ごす時間を作るために退職や転職を余儀なくされた女性は回答者の6割にのぼったのに対し、男性は4割だった。