数年後のスタンダードを描く、プラダの「性の均等化計画」

ランウェイでは男性モデルに交じって、女性モデルたちも堂々と闊歩した。ペアで楽しめる新しい世界観は、現代のモダニズムといっても過言ではない。

2010年秋冬以降のメンズコレクションで、レディスのルックが占める割合
ー19.6%(119/607)

「プラダ」はファッションビジネスにおいて、欠かすことができない重要なブランドだ。その理由は明快で、「プラダ」が提案する服には、我々人類の未来予想図が描かれているからだ。それは流行となるプロダクトであったり、着こなしだったり。一見しただけでは理解不能なものも、数年後には業界のスタンダードとなっている。

毎年1月と6月にミラノで行われるメンズ服発表の場で、「プラダ」は2010年の秋冬コレクションを皮切りに、しばしば女性モデルを起用し、レディス服の発表も行うようになってきた。その数は、決して男性を上回ることはないが、服づくりという視点で見ると、男女どちらが着ても成立するという、ユニフォーム的な解釈のものが多くなっていることがわかる。

2015年、世界の人口は約73億人となった。男女比を見ると、男性が50.41%、女性が49.59%だが、実数にすると約6,000万人の違いがある。医学の進歩によって、男女の産み分けが可能となった現在、一部では男の子を重宝する傾向だという。もしかすると「プラダ」は、神の領域をも守ろうとしているのではないか。

「プラダ」にはそれが出来るだけの魅力があるから、そんな想像もしてしまう。

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photograph by Junji Hirose | hair by hiro TSUKUI | make-up by Yoboon

この記事は 「Forbes JAPAN No.22 2016年5月号(2016/03/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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