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キム・カーダシアン(左)Mike Coppola / Getty Images

キム・カーダシアンが産後の目標に掲げていた体重135ポンド(約61.2キロ)を達成したそうだ。体重計に乗っている自身の写真を、「イエース!!!!、#アクティンズ」のコメントを付けて共有した。

「アクティンズ」は知らないが、恐らくカーダシアンが言いたいのは、故ロバート・アトキンス博士が提唱した「アトキンス・ダイエット」のことだろう。高たんぱくで高脂質、超低炭水化物の食事を続けるものだ。一時は非常に高い人気を得て、今でも実践する人たちがいる。しかし、多くの医師や栄養学の専門家の間では、健康に害があるとして、この方法に懸念を示す人も多い。タンパク質と脂質に過度に偏ることが、がんや心疾患を招く可能性があるというのだ。

また、この食事方法に変えれば一時的に体重が減少することは確かだが、長期的な有効性については明確ではない(一度落とした体重が、どの程度戻ってしまうのか、など)。

重要なのは体形より栄養

産後のダイエットについては、覚えておくべきことがある。カメラに写っていないところ、ツイッターやフェイスブック、その他のSNS上で語られないところで、カーダシアンに何が起きていたか、私たちには分からないということだ。

カーダシアンをはじめとするセレブたちは、ダイエットを助けてくれる栄養士やシェフ、トレーナーなどからなる専属チームを付けている場合が多い。何が効果的かきちんと把握してくれる人たちがいるのだ。

また、産後に食事を制限すれば、体が回復するために必要な栄養素をバランスよく取るのが難しくなる。授乳中には特に、400~500キロカロリーは余計に摂取すべきだとされている。さらに、食べているものがそのまま母乳に、そして赤ちゃんに影響を及ぼすことも忘れてはならない。

例えば、アルコールや魚に含まれる水銀、カフェイン、野菜や果物に含まれる農薬も、母乳を通じて赤ちゃんの体に入っていく可能性があるのだ。さらに、痩せなければというプレッシャーをかければ、自分自身にも赤ちゃんにもストレスになりかねない。バランスの取れた食事とは、健康的な量のタンパク質と脂質、それに“加えて”炭水化物を取ることだ。また、さまざまなミネラルとビタミン、十分な水分を取り、食事を抜かないことでもある。

妊娠と出産のプロセスで受けた影響からの回復には、特定の食品が有効だ。出産時の出血が多かった場合には、牛肉やカキ鉄分の多い食品を取る必要がある。豆腐や豆類、オートミール、イチジク、ほうれん草、スイスチャード(フダンソウ)、スイカも有効な食品だ。妊娠中に処方される薬で便秘になることもあるが、その場合には繊維質のものを取るように心がければ、影響を緩和できるだろう。

わずか数か月の間に、妊娠前の体形に戻る女性もいる。ただ、そうできる人がいるからといって、すべての女性がそうすべきだということにはならない。出産から6週間ほどは、体を休め、回復させるための時期だ。その期間を過ぎてから、ゆっくりしたペース(週に0.45~0.9キロ)で体重を落としていくのが望ましいとされる。半年から1年をかけて妊娠前に戻す女性が多い。それには十分な睡眠を取ることが有効だとされている(新生児を抱えていては難しいのが実際のところだが)。運動も大切だ。だが、ウォーキングから始めるなど、ゆっくりと、慎重に開始する必要がある。

カーダシアンは「リアリティー」番組のスターだが、その減量方法は、大半の人たちにとって「現実的」ではない。こうしたセレブたちのダイエットに関するニュースは女性たちに、あまりにも短期間のうちに不健康なやせ型をすべきだという過度のプレッシャーを与えてしまう。それは、産後の女性たちにも赤ちゃんたちにも、不幸な現実を招くことにつながりかねない。

編集 = 木内涼子

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