インスタグラムが導入する「ダイナミック広告」の破壊的パワー

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「ダイナミック広告」でターゲティングを強化

カナダのジュエリー小売店Jewlrは、インスタグラムで「ダイナミック広告」を打ったところ、費用対効果が3倍以上に上がったという。インターネット広告のクリテオによると、同社のクライアント5,000人がフェイスブック上で「ダイナミック広告」を利用しており、広告を出した商品の売上は10~15%伸びた。

インスタグラムのマーケット・オペレーションを担当するスーザン・バックナー(Susan Buckner)は「インスタグラムはブランド広告に始まり、今ではダイレクトレスポンス広告も行っています。インスタグラムでは“この商品はどうやって手に入れられるのか?”という投稿が頻繁に見られます」と語る。

フェイスブックとその傘下のアプリが、ターゲットを絞った広告を打てるようにすることは、同社の広告事業の拡大に貢献するだろう。フェイスブックが4月に発表した第1四半期の売上は53億8,000万ドル(約5,852億円)で前年同期比51%増となった。これを主にけん引したのがモバイル広告だ。

調査会社eMarketerは、インスタグラムの米国での2016年の広告売上を13億ドル(約1,414億円)と見積る。また、インスタグラムがフェイスブックのモバイル広告売上に占める割合を15.4%と見ている。2016年にアメリカで費やされるモバイル広告費は前年比38%増の436億ドル(約4兆7,400億円)に上ると同社は推測する。

フェイスブックによると、2015年の年末商戦では購入の5分の1がモバイル経由だった。eMarketerによると2016年はオンラインで旅行を予約する人の半分以上がモバイル経由で予約する見込みで、前年から44%増えると見込んでいる。

フェイスブックは旅行専用の「ダイナミック広告」も導入する。例えばあるウェブサイトでホテルを閲覧したユーザーに対し、そのホテルや近隣の同等のホテルを表示したり、航空券を購入したユーザーに対してホテルの広告を出したりする。この旅行用「ダイナミック広告」は、マリオット・インターナショナルやホテル料金比較サイトのトリバゴなどが試験的に利用している。マリオットはこの機能を数か月使った結果、広告費1ドルあたり20ドルの売上があったとしている。

フェイスブックはさらに、広告ツール「カスタムオーディエンス」のターゲットオプションを拡張した。これは既存の顧客に広告を表示する機能で、ウェブサイトの閲覧頻度や閲覧時間、旅行日程、閲覧に使ったデバイスなどを限定して広告を表示する仕組みだ。

フェイスブックによると、「カスタムオーディエンス」を利用したニューヨークタイムズ紙は1件の購読獲得にかかるコストが25%下がり、購読者数が2.3倍に増えた。新たな機能は今後数か月以内で利用できるようになる。

編集=上田裕資

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