マネー

2016.05.12 11:00

価格はテスラの6割程度、「格安EV」で中国企業が躍進


深センに本社を置くBYDは、2016年の北京モーターショーで新型の入門レベルのSUVを展開。ガソリン走行も行うハイブリッド版でE-6よりは小型、価格は20万9,800元(約350万円)だ。

カリフォルニア州に本社を置くテスラもまた、価格に敏感になってきている。他の多くの企業と同様、彼らは、中国には急いで質の高い模倣品をつくる資金も才能もあることを学びつつあるのだ。

だがBYD、NextEVとテスラには共通する問題がある。

今後の成長が、EVを購入する人々にかかっているということだ。多くの場合、EVの購入は数年分のガソリンを前払いするようなものだ。日本のトヨタやホンダが入門レベルのセダン市場をリードしているのには理由がある。トヨタ・カローラの新車の価格は18,000ドルを下回り、1ガロンで37マイルも走るのだ。その2倍の金額を払って純粋なEVを購入している消費者たちは、ガソリン代を節約しているのではない。究極を言えば、ガソリン代の分を自動車メーカーに払っているのだ。

原油価格の下落もまた、EVの需要に影響を及ぼしている。もしもEV市場が、中国やテスラの予想どおりに成長しなかったら、あるいはその成長ペースが予想を下回ったら、彼らのビジネスプランは練り直しが必要になる。

EV市場は新しい市場であり、テクノロジーの目まぐるしい変化があっという間に製造ラインを中断させかねない。そして中国企業はテスラだけでなく、ゼネラル・モーターズ、トヨタや日産にも新たな価格競争をもたらしている。これらの企業は後ろを振り返る必要はない。前だけを見るべきだ。既に中国勢に打ち負かされているのだから。

編集=森 美歩

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