妄想から現実へ。「循環型」島内生産
離島の地の利を生かして「循環型島内生産」に挑むのが、佐渡島の尾畑酒造の五代目、尾畑留美子だ。朱鷺がすむ豊かな自然環境を、お酒を通じて世界へ「見える化」したい。すべてはそれを起点に、プロジェクトは多様に広がる。
佐渡産の水、米だけではなく、廃校を仕込み蔵として再利用し、そこに太陽光パネルを設置してエネルギーまでも「佐渡産」にしてしまおうという壮大なアイデアの始まりは「妄想から」(同前)。
しかし、地域循環エネルギーを研究する東京大学IR3Sとの共同研究につながり、現在では必要電力の20%を賄う。「日本も島国であり、佐渡は日本の縮図。最先端のものづくりを佐渡で行い、全国に広げたい」。尾畑の挑戦は続く。
尾畑酒造@新潟県佐渡市
1892年創業「真野鶴」醸造元の老舗酒造。専務取締役の尾畑留美子は、大手映画配給会社を経て1995年に実家である尾畑酒造へ。2014年より廃校を再利用した「学校蔵プロジェクト」を創始。