自転車で「走りにくい街」が、先進地域へ
諏訪湖周辺は、風光明媚な自然が広がる観光地として知られるが、同時に精密機械工業のさかんな街でもある。その両方を生かして「ものづくりの諏訪」を世界に発信できないか—。そう考え地元有志により立ち上げられたのが、諏訪サイクルプロジェクト「スワクル」だ。
「実は、諏訪湖周辺は自転車で『走りにくい』んです」。プロジェクトの中心人物で、岡谷市で塗装業を営む渡邉俊也は語る。
諏訪湖は周回約16km、アップダウンも少なく、自転車に適した環境だ。しかし、日本の他の多くの地域同様、自転車専用レーンもなく路肩も十分に整備されていない。自転車で諏訪を楽しむ人が増えれば、行政も動くはず。まずはできるところからと、渡邉らは街のシンボルづくりに取り組んだ。
イタリアの工房で修業した経験のある職人他、地元企業の協力を得、間伐材を使用したオール諏訪産の自転車「木龍(もっくる)」を完成。プロジェクトは徐々に認知されるようになり、ついに今年、県がサイクリングロードの整備に動き出した。「身の丈に合ったボトムアップ型で、長期的視点で諏訪を盛り上げたい」と渡邉は意気込む。
スワクル@長野県諏訪市
観光、産業を含めた諏訪の魅力を発信するために、2012年、地元有志によって立ち上げられたプロジェクト。主に諏訪湖周辺の岡谷市、諏訪市、下諏訪町の事業者によって運営されている。