Forbes JAPAN 編集部 編集長


チャレンジすることで新たな展開へ

5年ほど前、前出の藤原ヒロユキは、クラフトビールの醸造家からホップの苗をもらった。

「妻の実家の裏庭に植えて最初の2年は変化がなかったのですが、気がついたとき、ホップの房がなっていたのです」

これは驚きの事態だった。なぜなら、志賀高原ビールが自家用に栽培する信州早生というホップが日本の南限と言われていたからだ。長野県より南にホップは存在しない。それが通説である。

藤原は友人の農家に「これ、見てよ」とホップを見せた。農家はホップ栽培を町に提案し、町長に就任したばかりの山添の耳に入るのである。

クラフトビールは欧米を中心にシェアが拡大し、日本でも地方のクラフトビールが海外に輸出されている。しかし、丹後ちりめんと同じ構図で、製造は国内だが、原料は輸入に頼っているのが実情だ。

国内の大手ビールメーカーが使うホップは、北海道や東北の契約農家による独占栽培である。それ以外の日本各地でつくられているクラフトビールは、大半が海外から乾燥したペレット状のホップを輸入している。自家栽培をしていても、賄えるのはわずかなのだ。藤原が言う。

「北海道や東北の風土に合わせた栽培方法を契約農家は知っていますが、それ以外で日本にホップ栽培の教科書はありません。つまり、大手と契約していないフリーランスのホップ農家を与謝野町がつくるとしたら、それは画期的なことになります」

藤吉雅春 = 文 ピーター・ステンバー、砺波周平、岩本良介 = 写真

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