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2016.05.11

日常に「宝の山」は眠る 京都府・与謝野町の挑戦

[左より]エムテド代表で、与謝野町クリエイティブ・ディレクターの田子學、京都醸造共同創業者のベンジャミン・ファルク、与謝野町長の山添藤真。東京国際フォーラムにて。(Photograph by Peter Stember)

人口2万3,000人、「地方のどこにでもある風景」ー。
京都・与謝野町の人々の挑戦に見る、地方の可能性とは。

まずは、田舎町にやって来た二人の話を紹介したい。

舞台は京都府与謝野町。「京都市内の人から、『同じ京都と名乗らんといてくれ』と言われます」と、地元の人が自虐気味に言うように、京都といっても日本海側の丹後地方に位置する。天橋立で知られる内海に面し、人口は2万3,000人に満たない。海と山に恵まれた町だが、ご多分に漏れず、人口減少と高齢化に直面している。

日本ビアジャーナリスト協会の代表、藤原ヒロユキが与謝野町出身の女性と結婚したのは31年前、26歳のときだった。彼は国内のみならず、欧米で開かれるビールのコンテストで審査員を務めたり、料理のレシピづくりやアドバイザーとして活動しているが、「大阪で育ったので、与謝野町の最初の印象は“妻のふるさと”という感覚でしかありませんでした」と言う。

しかし、盆と正月に与謝野町に通ううちにこう思ったという。ここは宝の山やな、と。ただし、それに気づいていない人が多かったのが気にかかった。

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人口は約2万3,000人。日本海側の内海に面し、海と山に囲まれた自然豊かな与謝野町。かつては丹後ちりめんの有名な生産地だった。重要伝統的建造物群保存地区であるちりめん街道がある。(Photograph by Shuhei Tonami)

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藤吉雅春 = 文 ピーター・ステンバー、砺波周平、岩本良介 = 写真

この記事は 「Forbes JAPAN No.22 2016年5月号(2016/03/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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