スナップチャットの若者層への影響力は強大だ。アクティブユーザー数は1日当たり約1億人。13~38歳のアメリカ人の60%以上がスナップチャットのユーザーで、そのうち18~24歳が37%を占めている。若者を対象とした広告を打ちたいならば、最適なプラットフォームだ。では、なぜスナップチャットでの広告が効果的なのだろうか。
数秒間が勝負のコンテンツ
スナップチャットの特徴の1つは、“今”作られたコンテンツを“今”見るという点だ。スナップと呼ばれる写真や動画をアップできるのは撮影直後のみで、見る側も数秒以内に見ないと消えてしまう。このユニークな仕組みが広告に向いている理由は3つある。
1. ユーザーがコンテンツに対し貪欲になる
スナップチャットで受け取る写真や動画は素早く簡単に消費される。一瞬で満足感を得られるため、ユーザーはコンテンツをどんどん欲しがるようになる。
2. エンゲージメント率の高さ
閲覧時間に制限があることで、コンテンツがたとえ広告であったとしても集中して見る傾向が高い。スナップチャットは目を見張るようなエンゲージメント率を誇っている。
3. “雑音”が少ない
スパムのような雑音がスナップチャットには少ない。そのためユーザーにダイレクトに広告を届けられる。
スマホならではの“縦長動画”CMが好調
今年2月のスーパーボウル中継の際、話題となったのがジープのCMだ。テレビ画面の中央に縦長の写真を表示し、左右の余白は黒塗りされていた。これはスマホでの視聴を意識して作ったからだという。そのジープを含む複数の企業が、スナップチャット上でバーティカル・ビデオ(縦長の動画)CMを公開している。
バーティカル・ビデオへのシフトは、スマホ時代の広告の新たな流れだ。これまではスマホを横向きにして見る横長動画が主流だったが、その流れも変わりつつある。縦長の広告動画の制作には全く新しいアプローチが必要になるが、スナップチャットでの視聴には非常にマッチする。
スナップチャットが直面する課題
スナップチャットは広告業界から幅広い支持を集めつつあるが、克服すべき課題もある。
1. 若者以外の年齢層に弱い
スナップチャットのユーザーには若者が多いが、25歳以上へのマーケティングには依然としてフェイスブックやツイッター、YouTubeが強みを発揮する。
2. バーティカル・ビデオの将来性が不透明
バーティカル・ビデオがクールでシームレスに見えるのは、一時的な現象に過ぎないとの懸念もある。
3. 中小企業の参入が難しい
フェイスブックでは1日数ドル程度から広告を打てるが、スナップチャットではほとんどの場合、数万ドルの予算が必要だ。
ここまで述べてきたように、スナップチャットが広告業界で非常にユニークな地位を築いていることは間違いない。同様な手法を他のプラットフォームも取り入れるかもしれない。広告ビジネスに関わる者としては、とにかくその動向を注視しておきたい。