しかし、コーネル大学と北京大学の共同研究チームは、それは単に「多分、それほど害はない」という程度の話ではないかもしれないと指摘している。新たな調査の結果、オンラインでのリツイートまたは情報の共有は、精神的能力を奪っている可能性があるとみられることが分かったのだ。精神的能力とは、理解し、回想し、内容を有益に利用することを支援する能力を指す。
仮説を検証するため、研究者らは2つのグループに分けた学生を対象に調査を行った。中国版のツイッターと呼ばれる「微博(weibo、ウェイボー)」からのメッセージを両方のグループに送り、一方には「リツイートするか、次のメッセージを読むか」の選択肢を与え、別のグループにはリツイートをせず、すぐに次のメッセージを読むよう指示した。
学生たちにはその後、メッセージの内容をどの程度理解したか、その内容を思い出せるかどうかのテストを受けてもらった。その結果、リツイートが認められていたグループの回答には、間違った答えが他方のグループの2倍近くあることが確認された。内容に関する理解の程度も、非常に低かった。リツイートしたメッセージが何についての話だったかは覚えていたものの、内容はあまり理解していなかった。
さらに、同じ2つのグループを対象に、同一の条件で追跡調査も行った。どちらのグループにも、メッセージを受け取った後に無関係の科学雑誌の記事を読んでもらい、その後、メッセージの内容に関するテストを受けてもらった。メッセージをリツイートしたグループは読んだだけのグループに比べ、理解度に関するテストの結果が非常に悪かった。
こうした結果の原因は、どこにあるのだろうか。研究者らは、「認知過負荷」が理由ではないかと推測している。内容ではなく、共有するかどうかについての決定が、精神的能力を流出させているというのだ。