中国人の「爆買い」の恩恵を受けようと、英国はここ3年余り、観光客の誘致に尽力して来た。イギリスのファッションブランドや高級品を「富の象徴」として売り込みつつ、政府も中国人のビザ要件を緩和。その戦略は成果をあげ、今や中国人は英国を訪れる外国人の中で最も支出額が多く、免税品の売上の25%を占めている。
バーバリーからファストファッション大手のエイソス(ASOS)まで、中国を主力市場と捉える英ブランドは増加中だ。デザイナーらは中国の消費者にターゲットを絞り、イベントを開催し、中国版「ヴォーグ」の表紙でブランドをアピールする。英国政府もまた、ファッション業界の中国進出を支援する。政府主導の「Fashion is GREAT」キャンペーンが、その一環だ。
英国政府は2012年、英国の魅力を世界にアピールする「GREAT Britain キャンペーン」を始動した。また、2015年を「中英文化交流年」に指定。ロンドンのファッション・ウィークには多数の中国人デザイナーが招かれたほか、今後はロンドン、上海の両ファッション・ウィークで、さらに連携を深めていく。
今年2月、UKTI(英国貿易投資総省)は、中国人バイヤーらをロンドンに招きイベントを開催。中国eコマース大手のMei.com やJD.comなどが参加した。また、4月7日から16日まで上海ファッション・ウィークが開催され、関連イベントの「The HUB」でも英国ファッションは注目を浴びた。
若い中国人は「いかにも」なブランドを避ける
中国の業界関係者にターゲットを絞り、コレクションを発表したブランドもある。シブリング(Sibling)、ライアン・ロー(Ryan Lo)、ヘンリー・ホランド(Henry Holland)、ケイトリン・プライス(Caitlin Price)、リチャード・マローン(Richard Malone)などが挙げられる。UKTIの中国担当者は次のように述べた。
「中国の顧客は、ユニオンジャックやハロッズのロゴなど、ステレオタイプな英国スタイルに関心を持ちます。しかし、センスが洗練されるに従い、ユニークなデザインを求める層も増えるでしょう。そして、英国にはそういったユニークなデザインが豊富にあるのです」