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2016.05.06

体にいい脂肪は動物性?植物性? 新たな報告も議論は続く

Evgeny Karandaev/shutterstock


「脂肪酸のバランス不良やオメガ6の摂りすぎがもたらす害については、以前から分かっていた。だから米国では、今では高オレイン酸の一種(高一価不飽和脂肪酸)を生成する品種を使い、今回の研究論文で指摘された潜在的な害を回避するひまわり油が今では主流になっている。また、同様のことが大豆油においても進んでいる」と話す。

つまり科学界は以前から、オメガ6脂肪酸の過剰摂取のリスクを認識しており、食品業界はそれを受けて商品の“微調整”を行ってきたのだ。

今回の新たな研究は、動物性脂肪をコーンオイルに替えることは、健康上の問題を解決する以上に引き起こす可能性があることを示しているにすぎないのかもしれない。そしてカッツが指摘するように、その報告はさほど有益なものでもない。「かつてはそうであったかもしれないが、今の植物油は敵ではない」。

ここ数年の考え方は、80年代の“脂肪否定”の名残りとして私たちに残る“脂肪嫌い”は見当違いだというものだ。トランス脂肪酸については明らかに体に悪いことが判明しているが、そのほかの脂肪については概ね、バランス良く摂取すれば体にいいか、あるいは適度な量であれば問題ないことが判明している。

そして専門家たちは長年、食品から健康的な油をバランス良く摂取することを奨励している。

「飽和脂肪酸の代わりに、さまざまな食品から不飽和脂肪酸をバランス良く摂取することが体にいいという有力な証拠がある」とカッツは言う。「推奨されているのはナッツ類、シード類、アボカド、魚といった自然な食品からの油の摂取だ。体に必要なのも、体がよく反応するのも、バランスなのだ」

編集=森 美歩

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