その日産が先ごろ、“新参者”のライバルに対抗するため米国の主要4紙に新聞広告を掲載。消費者に対し、「今すぐリーフを手に入れ、運転することができるのに、なぜテスラ3を待つ必要があるのか」と問いかけた。さらに、「なぜ列に並ぶために1,000ドル(約11万円)を払うのか?同タイプのモデルの中で最高レベルのリーフなら、4,000ドルのキャッシュバックが受けられるのに」と畳み掛けた。
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リーフは航続距離が160キロを超えており、性能も品質も折り紙付きだ。同社はこのほか、日産は2010年のリーフの発売以来、世界的に主導的な立場を維持してきたと主張。「リーフなら今すぐに購入可能。予約も不要だ」と訴えた。広告が掲出されたのは、ニューヨーク・タイムズ、ロサンゼルス・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、USTトゥデーの各紙。
日産の米国EV販売・営業部門の取締役、アンドリュー・スピーカーは、「日産には素晴らしい電気自動車があるということを、多くの人に思い出してほしかった」「販売台数は、世界累計で第1位だ」と述べている。
実際のところ、リーフは在庫が“豊富”だ。日産は当初、米国市場での販売台数を年間15万台以上と見込んでいた。だが、今年第1四半期(3月期)は売上減少が続き、前年比28%減の2,931台となった。ガソリン価格の下落に加え、消費者がEVの量産モデル登場を待ちわびていることが原因だ。消費者はなぜか、テスラ車の新モデル販売開始の見通しを控え、腰を上げようとしなくなっている。
リーフの上位グレード「SV」の航続距離は約172キロだが、モデル3はその倍の距離を走行できるとみられている。また、リーフSVの価格は連邦税控除が適用されない場合で3万4,200ドル(約367万円)。モデル3の価格も同程度に設定されている。
一方、ゼネラル・モーターズ(GM)は来年にも、シボレー・ボルトEVを発売するとみられており、価格・航続距離共に、モデル3と同水準になると見込まれている。
スピーカーは、「日産はEVの量産モデルを最初に米国市場に送り出し、全米規模で販売を行ってきた。他社に先駆けて、充電のためのインフラ開発を行い、現在の状況を作り出す基礎を築いてきたのは我々だ」と主張する。
同氏はまた、世界中で規制当局が燃費の向上と排ガス規制を追求し続けていることから、「電気は現在利用が可能になっている中で、最も実用的な代替エネルギーだと思う」と発言。「我が社の事業において、カギを握るものだ」として、今後のEV市場の長期的な展望に自信をみせた。
このほか同氏は、テスラのモデル3に注目が集まっていることは、間接的にはリーフの売り上げ増加を後押しする可能性があると指摘。「EV購入を検討し、関心を高める人が増えれば、EVを理解する人が増える。業界全体にとって、より良いことだ」と述べた。