アリババ会長、「中国寄りの報道はしない」 買収した香港紙で 

アリババのジャック・マー会長 (Photo by: Adam Jeffery/CNBC/NBCU Photo Bank via Getty Images)

アリババのジャック・マー会長が昨年末、香港の英字新聞「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」(SCMP)の買収を発表した際、自由な言論で知られる同紙が今後、中国政府の宣伝媒体になってしまうのではという懸念が高まった。

SCMPは113年の歴史を持ち、アジアで最も信頼されている英字メディアだ。中国についても遠慮のない報道をすることが多いが、中国の富豪がオーナーになれば、それが脅かされるのではないのか、というのだ。

その疑問に答える形で、アリババ会長のジャック・マーはSCMPの紙面に登場。同紙の今後の編集方針について語った。

「公平性やバランスの問題について、我々は中国に対して公平であるだけでなく、中国で起きていることを理解してもらうために、読者に公平な機会を提供するべきだ」とマーは述べ、アジアの英字紙としての独自のポジションを生かし、東側と西側の見方をつなぐ出版物として存在感を発揮することに意欲を示した。

SCMPの果たす役割について、マーは「人々は物事を西側あるいは東側だけの視点から見ることがある。この新聞が果たす役割は、ストーリーの背後にある根本的な疑問や文化的な文脈に迫り、伝えることだ」と強調。「読者にとって公平さを保つことの重要性は十分に認識している。自身の視点や偏見を読者に押しつけたり、結論に誘導すべきではない。私は公平な報道が何かを理解している」と語った。

マーはまた、アリババの持つビッグデータやクラウドといった潤沢なリソースや技術力を用いて、SCMPを世界的なメディアに成長させることを約束した。

編集=上田裕資

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