今年1月から3月までのiPhone出荷台数は5120万台。前年同期の6120万台から大幅に落ち込んだ。金額にして80億ドル(約8900億円)にのぼるiPhoneの売上の減少は特に中国(26%減)と米国(10%減)で顕著だ。
アップルの今期の総売上は506億ドル(約5.6兆円)で、前年比13%のマイナス。部門別ではiPadが19%減、Macが9%減。サービス部門は20%の伸びを記録し、60億ドルに達した。国別の売上では日本が唯一売上を伸ばし、24%の増加だった。
アップルの株価はこの報告を受け、8%以上下落した。
中国市場での追い風も停止した
ただし、アップルはこのまま沈んでいく訳ではないとティム・クックは主張する。クックは今回の決算発表で、「アンドロイドからiPhoneへの乗り換えは過去6ヶ月で最大を記録した」と述べた。シェアを奪っているとしたらよい報せだ。
しかし、スマートフォン市場でiPhoneは既に飽和状態であり、アップルは既存ユーザーにアップグレードを迫る必要がある。そして、その試みは成功を収めていない。クックによるとiPhone 6Sのアップグレード需要は、2014年発表のiPhone 6を下回ったという。
「5Sの場合と比較するとアップグレード率はわずかに高い。同期間内により多くの人々がアップグレードを行った。しかし、6と比較すると全く逆の結果になった」
クックは続けて「6Sへのアップグレードは、6へのアップグレードよりわずかに少ないというよりも、ずっと少ない」と述べた。「6と同様な成功を収めていたとしたら、大喜びだった。全く違った結果になっていただろう」
クックが説明する通り、アップルは自らの成功の犠牲者となったとも言える。iPhone 6は世界的大ヒットとなり、その成功ぶりは前代未聞のものだった。しかし、アップルは自社が持つ、2年ごとの大型アップデートという製品サイクルの犠牲になったとも言える。 6Sは6と全く同じ画面サイズとデザインで、大きな機能の違いも無い。iPhone 6を買ったユーザーの多くや、4Sや5、5Sを使用中のユーザーらは6Sに関心を示さなかった。
そして状況はさらに悪化している。第1四半期においては、中国でのiPhoneの販売数は伸びていたが、それも終わった。クックは世界最大のスマートフォン市場で「もはや追い風は吹いていない」と述べた。
次の四半期発表で明かされるiPhone SEの売上が増加に転じることが無ければ、アップルはこれから長いスランプに陥ることになる。秋に発表されるiPhone 7が彼らを救い出すよう、望みを託すしかないのだ。