アント・フィナンシャルは「今回の調達資金は中国内での金融サービス拡大に用いると同時に、グローバル化の動きも進めていく」と述べた。クラウドコンピューティングのインフラ構築や生体認証テクノロジー開発も進めていくという。
今回の資金調達には、中国投資(CIC)や中国建設銀行傘下のCCB トラストが新投資母体として加わった。アント・フィナンシャルの既存株主には、チャイナ・ライフ等の中国の主要保険企業、中国郵政貯蓄銀行の親会社であるチャイナ・ポスト・グループ、中国開発銀行やPrimavera Capital Groupらが居る。
2014年に設立されたアント・フィナンシャルは、eコマース向け決済の「アリペイ」から事業を拡大し、支払いや資産管理、小規模ビジネスや個人向けのローン保証に至るまで、事業領域を広げてきた。
利用者数は米英の人口以上。インドにも進出
同社のサービス領域はフィンテックと呼ばれる金融テクノロジーであり、かつての銀行がアナログな手段で行っていた業務や古い商習慣を、ネットの力で革新しようとしている。世界銀行の調べによると世界には銀行へのアクセスを持たない人が20億人以上も存在し、フィンテックはその解決手段となることが期待されている。それらの人々の多くはアジアやアフリカ、ラテンアメリカに住んでいる。
アント・フィナンシャルは現在、約4億5000万人のアクティブユーザーを持ち、利用者数は米国とイギリスの人口の合計を上回る。同社は既にインドにも進出し、インド最大のモバイル決済サービスPaytmと提携を行なった。
中国の地方部だけで同社は1億4000万人以上の利用者に、決済や保険、資産管理等の機能を提供している。そこで暮らす人々は従来の金融サービスを利用できない人々だ。
今年3月末現在で、同社傘下の「マイバンク(2015年6月設立)」、「マイクロローン」の2社は合計で2000万件以上の小口融資を小規模ビジネスや個人事業者向けに提供している。