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2016.05.03

EDM業界に朗報 楽曲の権利処理を爆速化するMetaPopが始動 

Antonio Guillem / Shutterstock

音楽業界は現在、ストリーミングの収益化の難しさという問題に直面しているが、実はリミックスについても大きな問題がある。

リミックス盤を作りたいアーティストはたくさんいる。エレクトロニック・ダンス・ミュージック(EDM)において、リミックスは大切な要素だ。しかし、楽曲のライセンス契約は煩雑で、YouTubeなどにアップロードされた楽曲が無断でリミックスされる事態が発生している。この問題を解決するシンプルかつ新しいサービスのMetaPopが4月12日に始動した。

MetaPopは楽曲をリミックス用に合法的に提供するためのプラットフォームで、楽曲制作者とリミックス制作者の両方に収入が入る。楽曲制作者は楽曲をアップロードすることで、無制限のリミックスを承認したことになる。MetaPopにアップロードされている楽曲はどれも無制限のリミックスが許可されているため、リミックス制作者は安心して制作に取り組める。

リミックス盤をMetaPop上で公開すると自動的にYouTubeページにアップロードされる(間もなくSoundCloudにもアップロードされるようになる)。楽曲制作者はリミックス盤を試聴して気に入ったものをアップルミュージックやSpotifyなどで公開できる。

リミックス盤がストリーミングサイトで再生され、収入が発生した場合、楽曲制作者に70%、リミックス制作者に15%、MetaPopに15%が入ることになる。MetaPopの利点はリミックスの制作許諾を得る手間を省くことができることのほか、楽曲制作者らに収入をもたらすことだ。

創業者はSFX社破産の影響を被った人物

創業者のマット・アデル(Matt Adell)はMetaPopを「リミックスのトラッキング、収益化、拡散を担うプラットフォーム」だと説明する。アデルは、EDMイベント会社SFXの破産により競売にかけられる世界最大のダンスミュージック専門オンラインストアBeatportの元CEOだ。そのためリミックス制作者が食べていくことや有名になることの難しさをよく理解しており、正しい対策を講じられる人物と言える。

すでに1万1,000ほどのレーベルがMetaPopと契約して楽曲をアップロードしているが、大手レーベルは含まれていない。ユニバーサル、ワーナー、ソニーの大手3社は試験的に数人のアーティストの楽曲をアップロードするかもしれないが、MetaPopとの全面的な契約には至っていない。

リミックスを巡る問題がたった1社のサービスによって解決するとは思えないが、取り組みが始まったことは問題解決の第一歩となるだろう。

編集=上田裕資

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