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2016.05.01 14:00

押し寄せる高齢化の波、米国はどう対応する?

Blend Images - Dave and Les Jacobs / gettyimages

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高齢化は、高齢者の問題ではない。世代を問わない問題だ。ベビーブーマー世代が1日当たり1万人のペースで70歳の誕生日を迎えるなか、米国は“老人支配”国になりつつある。老年学の専門家として知られるケン・ダイクウォルド博士は先ごろ、2016年大統領選の候補者たち、そしてメディアと有権者らに向け、押し寄せる高齢化の波に対応する必要があると訴えた。
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「高齢者らが直面する問題で支払いをするのは若い世代だ。背負うべき過重な負担は、若者世代を押しつぶしてしまう」という。

米国では現在、連邦政府予算の42%がメディケア(高齢者向け医療保険制度)と社会保障に充てられている。だが、この割合は増え続け、2030年には50%を超える見通しだ。博士は、この点を考えれば高齢化は「医療、財政の問題としても、世代間の問題としても、圧倒的な影響を及ぼす危機だ」と警告。さらに、候補者らが革新的な解決策を提案しているかといえば、答えは「ノー」だと強調する。

完全に公正な意見とは言い難いが、高齢化に伴い対応が必要になっていると博士が指摘するのは、以下の5つの点だ。
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・ 「高齢者」の定義

社会保障給付の対象年齢として、65または65歳以上を「高齢」とするのは適切だろうか?シンガポールのように、高齢の労働者を採用する雇用主には税制上の優遇措置を適用すべきではないか?

・ 加齢に伴う病気との闘い

85歳以上の人のうち、アルツハイマー病やその他の認知症を発症するのは2人に1人。患者を抱える家族にとっては、財政的、感情的な“シンクホール”(陥没穴)にもなり得る。発症する国民は2050年までに、現在の500万人から1,500万人に増えると予想されており、博士は「高齢化した世界を破滅させることにもなる恐ろしい病気だ」と主張する。

アルツハイマー病を撲滅するためには、どのような対策を講じればよいのだろうか?患者を介護する家族には、税制優遇措置を適用すべきだろうか?さらに、企業の有休制度も変更すべきだろうか?

・ 高齢者貧困率の上昇を回避

米国民の半数が年金に加入していない。オーストラリアや英国のような強制貯蓄制度を導入すべきだろうか?より困窮した人たちへの給付に回すことができるよう、所得や保有資産に基づく受給条件を設定すべきだろうか?

・ 年齢による差別をなくす

すべての人のための交通機関になるようにするためには、どのような変更が必要だろうか?

・ 社会的に意義ある役割を担ってもらうための支援

博士は、問題は高齢者の数の増加だけではないと指摘している。退職後に社会のために担ってもらえる役割があるとすれば、それは何だろうか?

一部の候補は対応に言及

博士は最大の問題として、アルツハイマー病やその他の認知症の撲滅を指摘している。共和党の大統領候補指名を争うドナルド・トランプは、父親がアルツハイマー病だったことからこの問題への対応を最優先に掲げていると発言している。一方、民主党の候補指名レースでトップのヒラリー・クリントンは、アルツハイマー病の研究予算を向こう10年間で現在の10億ドル(約1,118億円)から20億ドルに倍増させると約束。患者を介護する家族への税制優遇措置についても言及している。

候補者たちは、高齢化の問題を重視するだろう。彼ら自身の大半が、すでに高齢だからだ。クリントンと指名を競い合うバーニー・サンダース上院議員は最高齢の74歳。トランプとクリントン、ケーシック(共和党)の年齢はそれぞれ、69、68、63歳だ。

現在の社会保障制度が開始されたとき、米国人の平均寿命は62歳だった。だが、現在は79歳に近づいている。2050年に予想される65歳以上人口は、8,800万人だ(現在は4,600万人)。

ダイクウォルド博士はこうした予測に基づいて、各候補者にも有権者にも、これらを差し迫った問題として検討するよう呼び掛けている。

編集 = 木内涼子

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