プリンスの死の報せを受け、本稿執筆時点で米国のiTunesヒットチャートのトップ10は、ほぼ全て彼の楽曲で埋め尽くされている。「パープル・レイン」「ビートに抱かれて」「リトル・レッド・コルヴェット」「レッツ・ゴー・クレイジー」「クリーム」「1999」といった楽曲で世界中のファンたちが彼の偉業を振り返っている。
一部の関係者は「死後のセールスの急上昇ぶりは、今年1月に亡くなったデヴィッド・ボウイや、マイケル・ジャクソン(2009年没)、エイミー・ワインハウス(2011年没)らに匹敵する」と述べている。
世に出た楽曲は全体の3割にも満たない
プリンスは一日の全てを自宅スタジオで過ごし、非常に多作なアーティストであることで知られていた。同様な暮らしぶりで知られたフランク・ザッパやジミ・ヘンドリックスらも、死後に膨大な数の未発表作品を残している。
プリンスは一体どのくらいの未発表楽曲を残したのだろうか。関係者の一人によると彼のスタジオ、Paisley Parkにはおそらく2000以上の未完成楽曲や40以上のプロジェクトが残されているという。また、別の関係者は「プリンスの作品で世に発表されたのは全体の30%程度でしか無い」と述べている。
マイケル・ジャクソンやエイミー・ワインハウスも、膨大な未発表音源を残したと噂された。しかし、結局リリースされたのはマイケルの場合は2010年の「Michael」、エイミーの場合は2011年の「Lioness: Hidden Treasures」のみとなっている。
どの程度の楽曲が今後リリースされるかはプリンスの遺族とレコード会社、ワーナーの合意次第になるだろう。プリンスは1996年にワーナーとの契約を打ち切ったが、その後2014年に、ワーナーに残されていた原盤権を彼に戻すことを条件として、ワーナーと再契約していた。
プリンスの未発表楽曲としては1985に録音された「Evolsidog(God is Loveを逆さまに綴った曲名)」などが広く知られている。
彼のキャリアを振り返りたいファンには、筆者としてはコンピレーションアルバムの「The Hits 1」と「The Hits 2」をお勧めしたい。また、1987年の「サイン・オブ・ザ・タイムズ」は彼の多様な音楽性を一枚に凝縮したアルバムとして評価が高い。また、「パレード」(1986年)や「1999」(1999年)も代表作に挙げられる。