スティーブ・ジョブズの育て親 「コーチ」と呼ばれた男の功績

ビル・キャンベル (Photo by C Flanigan/Getty Images)

スティーブ・ジョブズやラリー・ペイジ、ジェフ・ベゾスなどテック業界の大物経営者たちのメンターと知られ、シリコンバレーで最も影響力のある人物の一人と言われたビル・キャンベルが4月18日、死去した。享年75歳だった。

「彼ほどテック業界に大きな影響を及ぼした人物はいない」とアルファベット会長のエリック・シュミットはフォーブスの取材に応えた。「スティーブ・ジョブズも彼の支えがあったからこそ前進し続けることができた。彼はスティーブのメンターであり、良き友人であり、庇護者であり、インスピレーションの源だった。スティーブは他の誰よりも彼を信頼していた」

「ビル・キャンベルは長年にわたるがんとの闘病の末、安らかに永眠しました。遺族は寄せられたお見舞いの言葉や支援に感謝していますが、今は静かに近親だけで故人を偲ぶことを望んでています」と、キャンベルの遺族の代理としてベンチャーキャピタルのKPCB(Kleiner Perkins Caufield& Byers)が声明を発表した。

キャンベルはインテュイットやクラリス、Go CorporationなどのCEOを歴任し、アップルの取締役も務めた。しかし、彼の最大の功績はシリコンバレーの数多くのリーダーたちに、メンターとして助言を与えたことだ。

アップル、グーグル、アマゾンを支えた「コーチ」

キャンベルは自らについてメディアに語ることはほとんどなかったが、彼が影響を与えた多くの人から愛され、崇拝されていた。彼のニックネームが「コーチ」だったのは、彼が経営者たちのメンターであったからだけでなく、1970年代にコロンビア大学フットボールチームのヘッドコーチを務めたことにも由来する。近年は、コロンビア大学の理事も務めた。

キャンベルは幅広い分野のリーダーたちに助言を与え、シリコンバレーを代表する企業の成長に多大な貢献を果たした。彼はシュミットの他にもジョン・ドーアやマーク・アンドリーセン、ベン・ホロウィッツなどのメンターを務め、若手起業家たちにアドバイスすることも惜しまなかった。

「ビルはアルファベットになる以前のグーグル時代から多大な貢献を果たしてくれた。私とラリー、そして最近では現CEOのサンダー・ピチャイも彼から多くの教えを受けた」とシュミットは述べている。

キャンベルのグーグルとの関わりは、経営陣のコーチを務めることから始まったが、すぐに他の管理職も彼に助言を求めるようになったという。
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編集=上田裕資

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