フェイスブックは、映像を合成してVR映像を制作するためのソフトウェアも提供する予定だ。同社はハードウェアの設計やソフトウェアをオープンソースで提供する計画で、GitHubへの公開は今年の夏を予定している。サラウンド360のコアユーザーとしては、プロの映像制作者を想定しているという。
ノキアのVRカメラは600万円
VR向け360度カメラの市場はまだ新しいが、既に数多くのスタートアップや大手テック企業が参入している。昨年はグーグルとGoProが16台のカメラを搭載した「Odyssey」を発表し、1万5千ドルで販売している。グーグルは映像を合成してVRコンテンツを制作するためのクラウドサービス「Jump」も提供している。サムスンもプロ仕様のカメラ「Project Beyond」を2014年に発表し、今年に入ってからはコンシューマー向けの小型カメラ「Gear 360」を発表している。また、ノキアもプロ仕様の「Ozo」を昨年リリースし、6万ドルで販売している。
スタートアップでは、JauntとLytroがプロ向けにVRコンテンツを制作できるハードウェアとソフトウェアを発表している。中でもLytroのカメラは光線の向きを記録するライトフィールド(光照射野)と呼ばれる技術を搭載しているのが特徴で、40K映像を毎秒300フレーム撮影することができる。これは毎秒400ギガバイトものデータ量に相当する。Lytroのカメラとソフトウェアは、12万5,000ドルからレンタルすることができる。
これらのカメラの多くはまだ販売されておらず、既に市場に出回っている製品もフェイスブックによると性能が不十分だという。より優れたVRカメラの必要性を感じたからこそ、同社はサラウンド360の開発に踏み切ったと言える。
「これまでの360度カメラの多くはオーバーヒートしたり、リグが華奢で撮影機材を設置できなかったり、長い時間をかけて手動で映像を合成する必要があるなど、不便が多かった」とフェイスブックでエンジニアリング担当のディレクターを務めるブライアン・カブラルはブログの中で述べている。
これだけ多くの360度カメラが提供されれば、VRコンテンツを撮影する機材に困らないことは確かだ。各社はVRコンテンツの増産に躍起になっているが、消費者の心を惹きつけられるかどうかが今後の大きな課題と言える。