変わったのはスペックではなく私たちの使い方
今のPCそのものが悪いと言っているのではない。筆者の息子は生物工学の博士課程を履修しており、PCを使って脳のモデルや3D画像などを作成している。Windows 10とPCの愛用者で、タブレット端末は受けつけない。息子の作業にはローカル接続のデータ処理能力と記憶装置が必要だからだ。
だが息子は市場のトレンドではない。彼はWindows 10の素晴らしさを深く理解し、作業をする上でマイクロソフトとWintel(Windowsを基本ソフトとしIntel製のCPUを搭載)の製品に大きく依存しているが、ユーザーとしてはニッチな存在だ。
PCもPCメーカーも、もう重要ではない
以前の記事には多くの苦情が来たが、今回の記事に対して読者からコメントが寄せられるとは思えない。大部分の人にとって、PCはほとんど“どうでもいい”ものだからだ。
大部分の人は仕事にモバイル端末を使っている。クラウドやSaaS(必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェア)プロバイダに依存し、多くをアプリで完結している。スマホで間に合わなければタブレットを使用する。PCを使うこともあるかもしれないが、その重要性はさほど高くないために、それがどのメーカーのものかは大して気にしないのだ。
驚くべきはPCの出荷台数が6四半期連続で減少したことではなく、いまだにこの傾向が覆ることがないという事実を受け入れようとしない人々がいることだ。そして多くの人が、依然としてマイクロソフトを市場リーダーだと思い、同社に素晴らしい未来があると考えている。そしてこのことが自分の企業(PC関連企業)、さらには自分のポートフォリオに及ぼし得る影響について、考えていないことだ。