ビジネス

2016.04.28

ゴミの山を宝に変える「食品再生ビジネス」

SpeedKingz / shutterstock

今、世界でどのようなことが課題になっているのか。それを見ずして、新たなビジネスチャンスは生まれない。国連で採択された「持続可能な開発のための 2030アジェンダ(SDGs)」は、世界が2030年までに解決すべき課題を169項目において提示してくれている。その中に次世代の事業モデルのヒン トが隠されていないだろうか—。

産業、インフラの課題について、元国連職員でもあるデロイト トーマツ コンサルティング執行役員ディレクター、田瀬和夫氏に話を聞いた。


日本は、世界に冠たる食料廃棄大国である。農林水産省の調べによると、年間1,700万トンもの食品廃棄物が排出され、中でも本来食べられるのに廃棄されている「食品ロス」は500万〜800万トンに上る。

国連の世界食糧計画(WFP)が世界で1年に配布する食料は300万トンとされるので、驚くべき量が日本だけで廃棄されているといえる。しかし、逆に言えば、ゴミの山を宝に変えるチャンスが潜んでいないか。

目標12.3項には、〈2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる〉とあるが、「例えば、パッケージを工夫することで賞味期限をのばす。また、途上国からの輸入の際のトランスポートを改善する。色々な方法が考えられます」(田瀬)。

思ったより簡単に、劇的にフードロスが改善する場合もある。途上国から先進国までの食品の運搬の経路で、多くをロスしているケースも多い。魚の輸送経路に、冷蔵船を導入する。野菜の運搬経路に発泡スチロール容器を導入させる。少しのサプライチェーンの改善で、生産性は上がり、ロスは減る。マイナスが多いからこそ、利益に直接結びつく可能性を秘めている。

たせ・かずお◎1992年外務省入省。2004年より国際連合事務局・人道調整部・人間の安全保障ユニットに出向。14年5月に国連を退職、6月より現職。公共政策と民間利益の『共創』をテーマに活動する。

解説=田瀬和夫 文=フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.21 2016年4月号(2016/02/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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