同社は5月から、既存会員についても月額9.99ドル(約1,079円)の料金プランを適用する。これまで月額7.99ドル(約860円)の料金プランだった既存会員は、前回の値上げ時は適用を免除されていた。
ネットフリックスは既に米国での新規会員獲得に苦慮しており、投資家の間では、同社の国内での普及が頭打ちになったのではとの声が高まりつつある。
同社のリード・ヘイスティングスCEOとデービッド・ウェルズCFOは1月、株主たちに宛てた手紙でこう説明した。「米市場で高い普及率を達成していることで、以前よりも利用者の純増が困難になっている」
ネットフリックスは、サービス地域を、中国を除くほぼ全ての国に拡大することで成長を模索してきた。それでも既存会員7,500万人のうち3分の2近くが米国内の会員で、そのうち70%が今回の値上げの影響を受けることになる。
値上げによってどれだけの会員がネットフリックスを退会することになるかはまだ分からないが、投資家にとっては会員の増加が最重要事項であり、いかなる障害も好ましくないものと受け止められる可能性が高い。
動画のストリーミング配信の市場は競争が激化しつつあり、アマゾンやHuluをはじめ各社が新タイトルの追加やオリジナルコンテンツの提供を行ってしのぎを削っている。アマゾンのプライム会員は年会費が99ドル(約10,680円)とネットフリックスよりも安く、しかも送料無料サービスもついている。Huluは月額料金が7.99ドル(約860円)、またはコマーシャル抜きで11.99ドル(約1,295円)、HBOは月額14.99ドル(約1,618円)だ。
各社は、会員を維持する上で2つの点に期待を寄せている。一つは“惰性”だ。ネットフリックスでは、ストリーミング配信に慣れた人の多くは、人気ドラマ『フレンズ』の“一気見”を突然やめたいとは思わないはずだと考えている。「既存会員は少なくとも2年前から購読契約を続けており、動揺は少ないと予想している」とヘイスティングスとウェルズは言う。
二つ目はオリジナルコンテンツで、ネットフリックスではこの分野に力を入れている。値上げ後には、Orange Is The New Blackの第4シーズン(6月予定)を含む数多くのコンテンツの放送が予定されている。