ネットフリックスは、今年5月からの月額料金の値上げを発表したばかりだ。毎月の利用料は7.99~11.99ドルに引き上げられ、UBSの調査によると現在およそ1,700万人とされる同社サービスの加入者たちは、毎月2ドルを余計に払うことになる。
利用者の側からみれば、アマゾンとネットフリックスのどちらを選択するかは確かに、料金とコンテンツ次第だ。コンテンツでは現在のところ、4K画質(ULTRA HD)の映像が視聴可能なネットフリックスが、HD画質にとどまるアマゾンを一歩リードしているといえそうだ。
コンテンツの違いよりも料金に非常に敏感な利用者はアマゾンへの乗り換えを考えるかもしれないが、画質の差がこの程度ならば、それほど大きな違いをもたらす問題とはいえないだろう。
ネットフリックスには、「ハウス・オブ・カード 野望の階段」や「ナルコス」などをはじめとする熱狂的なファンを持つオリジナルドラマがある。これらの番組のファンが毎月1ドルの節約のために、わずかでも画質が落ちるアマゾンに乗り換えを考えるとは考えづらいのだ。最終的には、両社に加入する世帯が増える可能性もある(記者がその一人だ)。
ネットフリックスは4月18日、2016年1~3月(第1四半期)の決算発表を行った。事前の予想では、同期の売上高は19億7,000万ドル、1株利益0.03ドル、第二四半期の売上高と1株利益はそれぞれ21億2,000万ドル、0.05ドルと予想されていた。また、第1四半期の新規契約数の伸びは、世界全体で435万件、米国内で175万件と予想されていた。
ネットフリックスの株価は、今年2月につけた最安値からおよそ35%上昇しているものの、昨年12月に記録した最高値に比べれば、24%安の水準だ。長期的な視点でみれば、両社の料金制度の変更は、空騒ぎにすぎないともいえる話だろう。