テスラでシニア・エンジニアを務めていたリッカルド・ビアシーニ(Riccardo Biasini)がComma.aiの制御担当チームの責任者に就任した。ホッツによると、ビアシーニは自動運転カーを制御するAI(人工知能)ソフトウェアの命令を自動車に伝える機能の開発に携わる。ビアシーニは2011年にテスラに入社し、エンジンで作られたエネルギーをタイヤに伝えるパワートレーンを担当していた。その後推進システムの開発をリードするシニア・システムエンジニアまで上り詰めた。
社員は4名。シェアハウスを本拠に打倒テスラ宣言
ホッツは車線維持アシストや緊急停止システムを搭載したADAS(先進運転システム)の車載キットを販売する計画を立てている。現在市場に出回っている製品よりも高品質だとホッツは言う。同社の最大のライバルであるテスラは、イスラエルのモービルアイが開発した先進的なADASを現在販売中のモデルに採用している。
Comma.aiは昨年10月の立ち上げ以来急速に前進しており、すでにホンダアキュラ「ILX」に同社のシステムを実装したデモカーを走行させている。筆者が実物を見たときには、6台のカメラやレーダー、そしてLidar(レーザーレーダー)が搭載されていた。自動運転カーを制御するマシンラーニングのアルゴリズムは、トランク内にあるNvidiaのグラフィックカードを備えたコンピューター上で稼働している。
Comma.aiでは他にも、ケンブリッジ大学で人工知能の博士号を取得したユヌス・サーチ(Yunus Saatchi)がマシンラーニングの責任者を務めている。ホッツによるとフルタイムの従業員は4人いるという。本拠地はサンフランシスコのポトレロヒルにある通称Crypto Castleで、ビットコイン関係の実業家も住んでいる3階建てのシェアハウスだ。
Comma.aiはアンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)が主導した投資ラウンドで310万ドル(約3億4,000万円)を調達した。その結果、ホッツによると現在の同社の企業価値は2,310万ドル(約25億円)に達しているという。
ホッツは昨年12月、グーグルやテスラに対抗したいとメディアのインタビューで答えて世間の反感を買った。この記事を受けテスラは、「大規模なエンジニアリングの検証能力を持たない個人や中小企業が、量産車に搭載できる自動運転システムを作ることは極めて難しいと考えています。テスラが2年前に開発した限定的なデモレベルであれば可能かもしれませんが、何百万マイルもの異なる道路についてデバッグするには莫大なリソースが必要だからです」との見解を示していた。