ファーウェイの主要3事業グループのうち、B2Bは通信事業者向け事業グループと法人事業グループが担当し、この2部門の2015年の売上高は401億ドル(約4兆4,000億円)だった。通信事業者向けグループの売上高は前年比21.4%増の358億ドル(約3兆9,200万円)で、同社の総売上高の59.6%を稼いだ。企業にネットワーク設備を販売する法人グループの売上高は同43.8%増の43億ドル(約4,700億円)。シューは同グループの売上高が2019年に100億ドルに届くとの見通しを示した。
信じられないほど野心的な計画との声も
サミットに出席したCanalysのリサーチアナリスト、ベン・スタントンは、800億ドルの目標を「信じられないほど野心的であるが、達成可能だ。通信事業者向けビジネスは稼ぎ頭でありつづけるだろう。鍵を握るのは中国以外への拡大だ」と述べた。
ファーウェイは2015年の売上高の42%を中国市場で稼いでおり、その額は前年から54.3%伸びた。欧州・中東・アフリカは32%増、アジア太平洋は13%増、そしてアメリカ大陸は10%増だった。
ファーウェイは研究開発に多額の投資を行い、昨年は売上高の15.1%に相当する596億元(約1兆円)を投じた。スタントンは「Software Defined Network(SDN)やクラウドコンピュータのような新技術は目標達成を後押しするだろう」と見る。
シューはサミットで「我々の戦略は全ての製品とソリューションの完全なクラウド化だ。数年前に全てのポートフォリオをIPに投入したが、同じことをクラウドでやる。最終的には顧客のオペレーションの助けになるようデジタルの変革を実現する」と述べた。
ドイツの事業者とも連携
先月、ドイツ最大の電気通信事業者ドイツテレコムはファーウェイと公共クラウドサービスを始めた。スタントンは、他地域の電気通信事業者との連携もファーウェイの成長の鍵だと指摘し、「ドイツテレコムとの連携を他の地域でも再現できれば、成長の大きなけん引力になる」と述べた。
一方で、IHSでモバイルインフラとキャリア財政を担当するシニアリサーチディレクター、ステファン・テラルは「B2Bビジネスの売り上げを2020年までに倍増するのはかなり難しい」と慎重姿勢を示した。
テラルは「通信の設備投資は2016年に下降し始める。中国では2桁減となり、世界でも横ばいだろう。その流れは2020年までは続く。また、ファーウェイは米国でシャットアウトされているし、法人向け事業はすでに不景気で競争が激しい」と理由を挙げ、「ファーウェイは地球では目標を達成できない。成長を続けるためには火星に行く必要がある」と皮肉った。