これを受けてフェイスブックは4月12日、違法アップロードを取り締まる新ツールRights Managerを発表した。同社が開発した動画マッチング技術を用いた機能で、権利所有者は著作権を保護したいコンテンツのライブラリーを作成して対応する。
マッチングのチェックはダッシュボード上で設定可能で、日付や時間、閲覧回数でフィルタリングが可能だ。権利保有者は違法コンテンツの自動削除を設定できるほか、動画の長さやアップロードされたサイト、閲覧回数などに制限を設けて取り締まることができる。
これまで無断でアップロードされた動画を削除するには数日間を要したため、削除の実施は大部分の利益が違反者の懐に入った後だった。今後はライブ動画に関しても即時に対応するとしている。フェイスブックはブログで次のように述べた。
人気動画の7割が海賊版動画
「今後は全てのライブ動画を、ライブラリーに登録されている動画と照らし合わせ、一致するものがあった場合は配信を停止します。動画制作者から提供されたライブ動画の一部をリアルタイムで照合することも可能です」
YouTubeやバイアコムは数年前から同じような対策を取っているが、フェイスブックが著作権保護の目的で実質的な対策を講じたのは今回が初めてだ。
広告会社オグルヴィとアナリティクス企業タビューラー・ラボの調査では、2015年第1四半期のフェイスブックの人気動画トップ1,000のうち、725本が海賊版で合計170億回も閲覧されていた。
Rights Managerは不満を訴えてきたコンテンツ所有者にとってある程度の慰めになるかもしれない。YouTubeの人気チャンネルSmarterEveryDayを運営するデスティン・サンドリン(Destin Sandlin)も不満を感じていた1人だ。
サンドリンの友人がYouTubeに投稿した動画は、4年をかけて500万再生を記録したが、フェイスブック上に違法投稿された動画は4日間で同等の再生数を記録したという。「フェイスブックは違法に投稿された動画で金儲けをしている」とサンドリンは述べている。
フェイスブックのRights Managerには大きな欠点もある。YouTubeの場合は、権利保有者が違法アップロードを行った組織に損失を請求可能だが、フェイスブックにはその仕組みが無い。
つまり、権利者が多大な手間をかけてライブラリーに動画をアップロードしても、損失を取り戻すことはできない可能性があるのだ。