世界を変える「チェンジメーカー」に必要な勇気と楽観

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リーダーシップは訓練できる

社会に対してより良いビジョンを持ったビジネスを立ち上げたい、と考えることはできても、持続することが難しい。続けるためには「モデル」が必要になる。いまの世界では、ビジネス的な考え方をしている人々と、社会的に良いことをしようとしている人々が重なるところがまだまだ少ない。でも、プライベートセクターで機能したやり方を途上国のためには使わない、という理由は一つもない。挑戦しようとしている人々が必要なマインドセットやスキルの育成のきっかけを提供しているのが、Acumenのプログラムです。

Acumenでは「リーダーになる」というよりは、「リーダーシップを発揮する」「リーダーシップを実践する」という言い方をしています。なぜなら、「権限」と「リーダーシップ」は必ずしも一致しないから。権限がある人間でなくても、リーダーシップは発揮できる。リーダーシップとは「訓練」できるものなのです。

そのうえで、世界を変えるチェンジメーカーに必要なことは何か、といえば、私個人は「モラルカレッジ」(道徳的な勇気)であると考えています。

「世の中は不公平だ」と言葉にするにも、勇気が必要。心では何とかしたい、と思っても、頭の中でやらない理由を探してしまうことがある。

頭と心が乖離しそうになった時に「勇気」を取れるかどうか。口に出しさえすれば、同じ思いを持っている人がきっと集まる。勇気や楽観主義的な考え方というのは、人に“感染”していくもの。そんな風に考えています。

まつかわ・ともこ◎「Acumen」NY本部にてリーダー育成プログラムのデザイナーを務める。ゴールドマン・サックスを経てグロービスへ。資本主義の仕組みを貧困問題の解決に使うという考えに興味を持ち、グロービス在籍中の2010年末よりAcumen東京チャプターにてボランティアを始める。米国に渡り、14年3月から現職。

フォーブス ジャパン編集部 = 文

この記事は 「Forbes JAPAN No.21 2016年4月号(2016/02/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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