早大ビジネススクール准教授が語る、リーダーシップの4資質

Enis Aksoy / gettyimages

経営学では、リーダーシップは「トランザクティブ・リーダーシップ」と「トランスフォーメーショナル・リーダーシップ」の2種類に大きく区分けをされています。

トランザクティブ・リーダーシップとは、部下の自己意思を重んじ、部下に対して褒める、怒るなど「アメとムチ」をうまく使えるタイプのリーダーです。

もう一つのトランスフォーメーショナル・リーダーシップは「啓蒙」を重視するリーダー。(1)ビジョンやミッションを明確に掲げ、部下の組織に対するロイヤルティーを高め、(2)事業の将来性や魅力を語り、部下のモチベーションを高め、(3)新しい視点を持ち込み、部下のやる気を刺激し、(4)部下一人ひとりと個別に向き合いその成長を重視するという4つの資質から構成されています。

私は、これからのリーダーシップにおいて「トランスフォーメーショナル型」がより重要になってくると考えています。例えば、米ノースカロライナ大学ケヴィン・ロウェらの研究など、経営学の研究では、全般的に「『トランスフォーメーショナル型の4資質』を持ったリーダーの方が、組織の成功・業績につながりやすい」という結果が出ているからです。

さらにいえば、リーダーには「優れたビジョン」とそれを浸透させることが重要だからです。例えば、米メリーランド大学のロバート・バウムらの研究は米企業のCEOを使った統計分析から、「CEOが優れたビジョンを持っていて、CEOと従業員のコミュニケーションが高まるほど企業の成長性が高まる」という結果を得ています。

実際、米GEをはじめ多くの優れたグローバル企業の経営者は、近年になってさらにビジョンを大切にし、それを組織に徹底して埋め込むことに注力しています。まさに、トランスフォーメーショナル・リーダーシップのアプローチであり、その重要度が高まっていることの証左といえます(談)。

入山章栄◎早稲田大学ビジネススクール准教授。2008年米ピッツバーグ大学経営大学院博士号取得。同年よりニューヨーク州立大学助教授。13年より現職。著書に『世界の経営学者はいま何を考えているのか』『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』。

フォーブス ジャパン編集部 = 構成

この記事は 「Forbes JAPAN No.21 2016年4月号(2016/02/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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