マネー

2016.04.13

世界を揺るがす「パナマ文書」とは一体何か、公開の経緯と今後の展望

パナマの法律事務所モサック・フォンセカの看板 (Photo by Joe Raedle/Getty Images)


各国・各界に広がる波紋

ICIJによる情報公開の結果として起きたことは、すでにさまざまなニュースソースやツイッターなどで伝えられているとおりだ。これらの人名や社名の多くには、聞き覚えがあるかもしれない。ICIJによれば、今年のフォーブスの世界長者番付の500位までに名を連ねた富豪29人も、これらの中に含まれているという。

以下の政治家は、データに氏名が含まれていたことが明らかになった人たちだ。

マウリシオ・マクリ(アルゼンチン大統領)、シグムンドゥル・グンロイグソン(アイスランド元首相、この件を受けてすでに辞任)、ナワズ・シャリフ(パキスタン首相)、サルマン・ビン・アブドルアジズ(サウジアラビア国王)、ペトロ・ポロシェンコ(ウクライナ大統領)、ハリファ・ビン・ザイド・ナハヤン(アラブ首長国連邦大統領)

また、ICIJによると、パナマ文書にはロシアのウラジーミル・プーチン大統領がオフショア(租税回避地)の口座に少なくとも20億ドル(約2,177億円)の資金を隠していたことを示すものもあった。だが、露政府は「憶測にすぎない」として、これを否定している。

さらに、このほか少なくとも40か国のリーダーたちの親族の名前が挙げられている。

イアン・ドナルド・キャメロン(デービッド・キャメロン英首相の亡父)、アラア・ムバラク(エジプトのホスニ・ムバラク元大統領の長男)、習近平・中国国家主席の子供たち

文書の中には、米政府当局が「ブラックリスト」に入れている33以上の個人と企業の名を記したものもあったという。メキシコの麻薬王との取引があった人物やテロ組織関係者、米政府が経済制裁の対象としてきた国(北朝鮮、イランなど)が含まれている。

一方、スポーツ関係者も無関係ではない。国際サッカー連盟(FIFA)の一連の大規模スキャンダルに関与したとされる人物と関わりがあるオフショア会社の名前も指摘されている。

オフショア会社は合法

オフショア会社やオフショア信託を設立すること自体は、違法ではない。この点を忘れてはならない。実際のところ、大半の国はこれらを法的に認めている。オフショア信託を使って課税を逃れたり、資産を隠したりすることが違法なのだ。

モサック・フォンセカはこの点に関連して、「当社のサービスが悪用されたのなら残念だ。悪用防止に向け、積極的に対策を講じている」と述べている。

今後の影響は─

数週間後には、新たな文書(そして恐らく別のビッグネームも)が公開されることになるだろう。

明らかにされる情報の影響は、ロンドンにも北京にも、世界中の各都市にも広がっていくはずだ。それらが世界の金融と税の透明性、そして市場に及ぼす影響は、現時点では計り知れない。

編集 = 木内涼子

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事