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2016.04.15

自転車業界トップ、台湾GIANT 「赤字覚悟」でシェア事業推進

Perry Svensson / Shutterstock.com

自転車シェアリングは世界の100を超える都市で導入されている。しかし、多くの自転車はチェーンが外れ、タイヤの空気が抜けている。利用者は多いが、サイクリングの楽しさがいつでも味わえるとは限らない。

台湾に拠点を置く世界最大の自転車メーカー、ジャイアント・マニュファクチャリング(Giant Manufacturing)は自転車シェアサービス「YouBike」を通じ、その状況を変えようとしている。同社は台北でカラフルな自転車7,264台を用意し、必要な人が24時間いつでも使えるサービスを提供している。

儲けは度外視で自転車の楽しさを

ジャイアント創業者のキング・リュー(劉金標)はフォーブスの取材に「他の都市ではライダーは自転車に愛着を持てない。古かったり、チェーンが外れていたり、ベルは鳴らないポンコツばかりだからだ」と語った。

ジャイアントはこのサービスを台湾の他の4都市でも展開している。CEOのトニー・ロー(羅祥安)は「目先の利益は度外視して、高品質な自転車シェア体験を提供したい」と語る。実際のところ、2012年に始動したYouBikeの人気が高まるにつれ、台北でのジャイアントの自転車の売り上げは増えた。同社は昨年、600万台の自転車を生産した。街乗り用よりもスポーツやレジャー用の自転車の方が良く売れたという。

82歳のキングと68歳のローは普段から自転車に乗っている。キングは73歳にして初めて自転車で台湾を一周して話題となった。10年前にはサイクリングを楽しむ台湾人はほとんどいなかったが、今では晴れた週末にはどこででも見かける。

ジャイアントは2009年、台湾でサイクリングコースやホテル、休憩場所を提供する自転車旅行サービスを立ち上げ、今年は日本でもサイクリングを普及させる取り組みを始めた。ローによると、世界の自転車普及率は18%にとどまっており、成長余地は大きい。

「業界で、自転車を売る以上のことに取り組む唯一の会社」と評価されるジャイアントには、海外からもバイクシェアの運営依頼が舞い込んでいる。今年は中国・福建省の泉州市でサービス開始を支援し、ヨーロッパやアジアのほかの地域からのリクエストにも、前向きに検討しているという。

「YouBikeへの反響は予想以上だ」とローは語る。「私たちはこれがビジネスになるのかと、わくわくしながら自問自答している。私たちは自転車の提供とバイクシェアサービスの運営の両方ができる世界唯一のメーカーで、ほかの会社がこれを収益化するのは非常に困難だ」

編集=上田裕資

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