8,000本の映画をデータサイエンティストが調査
データサイエンティストのマット・ダニエルス(Matt Daniels)と、ソフトウェア開発者のハナ・アンダーソン(Hanah Anderson)は、8,000本の映画のセリフを調べ、最終的にはそのうち2,000本の映画のセリフを、男女別に集計した。セリフの分析としては、過去最大規模といえそうだ。
映画業界には、ベクデルテスト(Bechdel Test)というジェンダーバイアスを測定するためのテストがある。ダニエルスとアンダーソンは6週間をかけて、出来るだけ多様な映画を診断した。
今年1月、言語学者らによって「ディズニープリンセスの映画は、女性より男性の方がセリフが多い」という調査結果を発表した。ダニエルスとアンダーソンはピクサー映画も含め30本のディズニー映画を分析。その結果、73%のディズニー映画は、女性より男性のセリフの方が多いことがわかった。
『ムーラン』のように、女性が主役の映画でさえ、セリフの数では男性がリードしている。調査によれば、ムーランの守護竜、ムーシュー(声:エディ・マーフィー)は、ムーランより50%セリフが多い。
2人が調査したデータを見ると、男性優位ではない映画ジャンルは稀だ。ロマンティック・コメディは、全セリフの58%が男性のものだ。『プリティ・ウーマン』と『恋のからさわぎ』はどちらも主人公は女性だが、脇役の男性キャラクターを含めると、どちらの映画も全セリフの52%が男性から発せられている。
今回の調査から、年齢によるセリフ数の格差も明らかになった。「各映画に登場する女優の年齢を見てみると、年齢が上がるにつれ、セリフは減っていく傾向にあります。しかし、男優の場合は、年齢が上がると共にセリフも増えているようです」と、アンダーソンは話す。
女性が一番セリフの多い登場人物(主役)である映画は、たった22%だった。女性は2番目にセリフの多い登場人物であることの方が多く、その比率は34%だ。3人メインのキャラクターが登場するとしたら、そのうち2人以上が女性である映画はたった18%に過ぎず、逆に、メインキャラクター3人のうち2人以上が男性である映画は82%だ。
南カリフォルニア大学の研究チームが発表した「エンタメ業界の人種や性別の多様性に関する研究」によれば、2014年に興行収入がトップ100に入った映画のうち、全登場人物に占める女性の割合は、たった28.1%だ。また、女性が主役、あるいは男性とともに主役を務めた映画はたった21本で、そのすべてが45歳以下の女優だった。
今回の調査は性別に焦点を当てているが、データは俳優別に分類されているため、今後、年齢や人種に焦点を当てて分析することも可能だろう。調査の詳細はPolygraphのウェブサイトで確認できる。