化粧品製造・販売のコーセーを経営する小林家の3兄弟(19位、資産額21億ドル)は、自社の株価がここ一年で50%上昇したことを受けて初めてランク入りした。これに寄与したのが、化粧水や日焼け止め、洗顔料をはじめとする美白化粧品シリーズの「雪肌精」の好調な売り上げと、「コスメデコルテ」や若い女性をターゲットとした「ジル・スチュアート」シリーズの安定成長だ。同社の2015年3月期通期の売上高は、前年比10%以上増加、17億ドルに上った。さらに、2016年3月期の通期売上高では、同20%の増加を見込んでいる。
新顔の中で最も保有資産額が多かったのがこの小林3兄弟であり、資産の増加率で1位となったのは、ポーラ・オルビスCEOの鈴木郷史だ。同氏の資産は前年比で69%増加している。植物原料やオーガニックにこだわった製品が、投資家や消費者たちの高い支持を得た結果だ。
両社の株価上昇には、いくつかの要因が挙げられる。化粧品は2014年から免税商品の対象になり、中国人をはじめとする外国人旅行者の購入量が大幅に増加。中国本土から日本への旅行者は2015年、前年からほぼ倍増、500万人近くに上った。観光庁が同年に実施した調査によると、中国人旅行者の約75%が、日本で化粧品を購入している。また、経済産業省によれば、同年の化粧品販売は円ベースでも販売個数ベースでも、共に増加している。
また、両社はいずれも、海外事業でも成功を収めている。ポーラ・オルビスは2012年にオーストラリアのオーガニック化粧品メーカー、「ジュリーク」を買収した。ジュリークは化粧品専門店「セフォラ」などのチェーンを通じて世界20か国で製品を販売しているほか、定期購入型の通販サイト「バーチボックス(Birchbox)」でも購入が可能だ。
一方、コーセーは長年にわたり、香港と中国、シンガポール、マレーシアに製品を輸出してきた。さらに、2014年には米化粧品販売の「タルト(Tarte)」を傘下に収め、大手小売店などにも販路を拡大。北米市場への進出を果たした。
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