まず大統領選挙では、共和党は予備選の段階で2〜3人の候補者に支持が集中し、最終の一般選挙では、ベテラン政治家が選ばれるのが通例であった。しかし今回、予備選の早い段階で候補者の数を2人に絞ったのは民主党であった。ヒラリー・クリントンとバーニー・サンダースである。共和党は、ほぼ20人の候補者で予備選を始めたが、2月現在、依然として6人が選挙に残っている。
第二に、民主党はジミー・カーターやビル・クリントン、バラク・オバマなど、新顔を指名するのを好むが、今回は共和党の方がドナルド・トランプやベン・カーソン、カーリー・フィオリーナといった、最近まで政治家ではなかった新顔の候補者が有力であった。これは、いかに多くの共和党支持者が機能不全に陥った政治を作り出した政治家に不信感を持ち、この状態を打破するために、ワシントン経験のない“アウトサイダー”を求めているかを示している。
第三に、予備選で最も注目を集めたのはドナルド・トランプだった。15年には、ほぼ全ての政治の専門家が、「冬までには勢いを失い、共和党に拒否される」と予想していた。その予想に反し、最右翼として残っている。そして共和党幹部の何人かは、もし彼がこのまま支持を受け続ければ、党として彼を排除することはできなくなると恐れている。
第四に、15年には多くの専門家が、ヒラリー・クリントンが民主党の候補者に問題なく選ばれると予想していた。ところが、バーニー・サンダースが特に若い有権者の間で予想以上に人気があることが分かった。トランプとサンダースに人気が集まっているのは、両党の支持者がいかに現状や、既存の政治家のリーダーシップに不満を抱いているかを示している。