アマゾンは同社の女性従業員の給与は男性の99.9%で、既にほぼ同水準になっていると主張している。ただし、アマゾンの女性社員数は全体の39.9%にとどまっている。エクスペディアは男女同一賃金ポリシー及び目標を10月までに公表すると言明した。
2社の動きは、ボストンの投資会社ボールドウィン・ブラザーズ(Baldwin Brothers)のアクティビスト部門であるArjuna Capitalのプレッシャーを受けたものだ。Arjunaは多くの米有力テック企業の株主でもある。インテルは2月に男女同一賃金を完全達成したと報告し、アップルはボーナスやストックオプションを除いた女性の報酬が男性とほぼ肩を並べていると明らかにした。
男女同一賃金をテック企業に求める取り組みは、Arjunaで企業との交渉を担当する女性幹部、ナターシャ・ラムが主導する。株主総会シーズンを前に、各社に男女の賃金の公表を求める株主決議案を提出したラムは、「私たちは社会や環境を良くするための問題を取り上げる」と強調している。
男女格差がワーストなのはアマゾン
アマゾンは「漠然として具体性がない」として、Arjunaの要求を議決権行使に関する文書から外すことの承認を米証券取引委員会(SEC)に求めたが、SECはArjunaの主張を認め、この問題を株主投票にかけるべきだとの判断を下した。6日後にアマゾンが社内の男女の賃金データを公表したため、ラムも決議案を取り下げた。
アマゾンは職業評価サイトFairygodbossが最近公表したテック企業の男女平等ランキングでも、最下位近くに順位付けされた。男性の同僚と公平な待遇を受けていると回答したアップルの女性従業員は72%いたが、アマゾンでは40%にとどまった。
シアトル・タイムズも2014年の記事で、アマゾンの成長が都市の男女賃金格差を拡大させたと指摘している。
Arjunaはイーベイや、グーグル、アドビ、フェイスブック、マイクロソフトに対しても同様の提案を行ったが、フェイスブックとイーベイは黙殺している。ラムは次のように述べている。
「今のペースだと男女の賃金格差は40年で解消されるだろうが、私たちはそんなに待てない」
彼女が動き出せば、フェイスブックやイーベイも沈黙を守ってはいられないだろう。