フェイスブックがKLM航空と提携 メッセンジャーで搭乗可能に

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フェイスブックは3月30日、KLMオランダ航空とのパートナーシップを発表。KLMの搭乗者にメッセンジャーアプリからのチェックイン、フライトの確認、搭乗券の表示やリマインドを行える仕組みを提供する。アプリ上のチャットでKLMのカスタマーサービスと会話を行い、フライトの変更を行うこともできる。

 この機能は本日からKLM.comでチケットを購入した全てのユーザーが利用可能だ。フェイスブックは今後、同様な仕組みを他の航空会社にも広げていきたいとしている。

 
12言語に対応。チャットでの搭乗予約も

フェイスブックは既にパーソナルアシスタント機能「M」をリリースし、ビジネス向けの顧客サポートや決済機能を強化。ウーバーやリフトがこれを導入してきた。メッセンジャーアプリが航空会社のサービスに適用されるのは今回が初めてだ。

 フェイスブックの製品担当副社長のデビッド・マーカスは次のように述べた。

「空の旅の煩雑な手間やストレスを取り除きたい。これは私自身の願いでもありました。メッセンジャーは人々が会話を行う上で最適なツールであり、最近はビジネス利用も進んでいます。KLMの顧客のみなさんは、慣れ親しんだメッセンジャーを用い、便利で快適な空の旅を楽しむことができます」

 マーカスによると米国では航空機の搭乗者の80%がメッセンジャーアプリを利用している。KLMはメッセンジャー上のサポートをライブチャットにも適用し、直前の搭乗予約や、予約に関する質問に回答するという。ライブチャット用に200人のスタッフを用意し、12以上の言語に対応する。

 メッセンジャーをカスタマーサービスに導入した企業は、小売業界では他にウォルマートや Everlane、ホテルチェーンのハイアットが挙げられる。

 KLMの CEO、ピーター・エルベルス(Pieter Elbers)によると、昨年から同社のフェイスブックページでメッセンジャーでの顧客サポートを開始したところ、 利用者が約40%増加し、その重要性に気づいたという。

「メッセンジャーとKLMのサービスは良い組み合わせです。弊社の顧客のみなさんはメッセンジャーのようなプライベートなツールで、サポートを受けることを好みます」とエルベルスは述べた。

 メッセンジャーの月間アクティブユーザーは現在約8億人。今回の動きは中国のWeChat、日本のLINE、韓国のカカオトークといったアジアの有名アプリの動きに追随するものだ。それらのアプリは医師やレストランの予約、アプリ内からの様々な買い物やゲームにも対応している。

今回のパートナーシップはフェイスブック、KLMの両社に利益をもたらす。フェイスブックはメッセンジャー経由のサービス拡大を目論んでおり、交通分野への進出は重要な意味を持つ。KLMにとっても、8億人のメッセンジャーのユーザーを潜在顧客と出来ることは大きなメリットだ。

 フェイスブックは2011年にメッセンジャーサービスを立ち上げ、2014年に単体のアプリとして独立させた。

KLMはこのサービスの利用を促進するため、4月20日までの期間中、メッセンジャーアプリを利用して搭乗した顧客らに、ペアの往復航空券が当たるキャンペーンを実施する。

編集=上田裕資

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